「新しい元号は令和であります」。2019年4月1日午前11時41分、菅義偉官房長官は緊張した面持ちで新元号を発表した。日本が歓迎ムードに湧く中、「令和」という最後のピースを手に入れた新元号のシステム対応はいよいよ最終コーナーを回った。

 「焦らず、余裕を持った計画を立てて進めてほしい」。経済産業省は国内企業にこう呼び掛けている。同省は2019年4月3日、改元に伴う情報システム改修の対応について都内で記者説明会を開き、新元号への情報システム対応において、企業に留意してほしい点や国の方針などを説明した。

経済産業省の商務情報政策局 情報技術利用促進課(ITイノベーション課)の守谷学課長補佐(総括)
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無理なスケジュールがトラブルの原因に

 元号は2019年5月1日に「令和」に変わる。アルファベットでは「Reiwa」、1文字略語は「R」となる。

 経済産業省の商務情報政策局 情報技術利用促進課(ITイノベーション課)の守谷学課長補佐は、「改元日に強引に全てのシステムを間に合わせようとして無理なスケジュールを組むと、トラブルを引き起こす原因になり得る」と注意を呼び掛けた。

 ITベンダーを急がせたりシステム担当者に無理をさせたりすると、修正ミスや修正漏れが生じる可能性が高まる。例えば人事・会計システムなどの帳票で「令和」が日付として認識されずエラーが出てしまったり、自社の他システム同士や他社システムとデータ連係する受発注システムなどで差し戻しが生じてしまったりなどのトラブルが考えられる。

 改元日初日からトラブルを起こして出ばなをくじかれないようにするには、19年4月30日までに必ず対応が必要なシステムとそうでないシステムを正しく切り分けたうえで、前者については4月30日までに確実に修正を済ませる必要がある。

対応するシステムの優先順位を明確に

 優先的に対応すべきシステムは業種や企業によっても異なるが、銀行や生命保険会社であれば顧客向けの通知書類や画面、一般企業では受発注システムなど他社システムと連携するシステム、社内システムであれば金銭のやりとりに関わるようなシステムなどが挙げられるだろう。

 例えば経理処理関連システムは、システム改修に修正ミスや修正漏れがあった場合、業務に影響するような事態に陥りかねない。「経理処理を担うバックオフィスシステムは意外と和暦を使っている部分もあり修正漏れのリスクがある」と守谷課長補佐は注意喚起する。従業員への給料が支払えない、取引先に振り込みできないといった金融関係のトラブルが起きる可能性もあるという。

 府省庁に提出する帳票などの文書については「令和に元号が変わった後も、平成の表記も有効なものとして扱うと正式に決まった」(守谷課長補佐)。地方自治体についても、国の取り組みを参考にした上で事務処理をするよう国から地方自治体に対して要請している。公的機関向け帳票は改元日以降も平成の表記を使い続けてもよいとの方針だ。

 経済産業省は19年4月30日までに対応が必須ではないシステムについては改修の優先順位を下げ、運用での対応を検討することを勧めている。5月1日以降に対応するシステムに関わる帳票などについては、例えば「平成」の部分を二重線で消しハンコで新元号の「令和」に修正するなどの対応方法を事前に決めておくことが重要だとする。

 さらに19年4月30日までに対応するシステムについても、5月1日以降に万が一不具合が発生した場合を想定し、事業を継続するための対応方法を決めておくと安心だ。例えばチケット発券システムでチケットが発券できなくなる不具合が起きたとき、手書きのチケットを発券するなどだ。

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