2019年1月27~31日に韓国ソウルで開催されたMEMS(微小電子機械システム)分野の旗艦学会「IEEE MEMS 2019(The 32nd IEEE International Conference on Micro Electro Mechanical Systems)」で、フランスLetiは、ガラス上に作成した圧電ハプティック(触覚提示)デバイスを発表した(図1)。図1に示すハプティックデバイスの大きさは2cm×10cmであり、ディスプレーとの一体化を想定していると思われる。薄膜PZTアクチュエーターを用いてガラス板に板波を励振し、ガラス板と指の間の摩擦係数を変化させる。10Hzで駆動したとき、指に触覚効果が得られたという。

図1 ガラス上に作られた圧電ハプティックデバイス
(写真:F. Casset, G. Le Rhun, B. Neff, B. Desloges, C. Dieppedale, S. Fanget, LOW VOLTAGE HAPTIC SLIDER BUILT USING SOLGEL THIN-FILM PZT ACTUATORS REPORTED ON GLASS, Proc. IEEE MEMS 2019, pp. 990-993.)
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 技術的な注目点は、ガラス上にどうやってPZT薄膜を形成しているのかである。PZTの成膜はゾルゲル法またはスパッター法でなされるが、いずれにおいても600℃程度以上の高温プロセスのため、ガラス上では難しいとされている。

 Letiの発表では、別の基板上にゾルゲル法によって形成した550nm厚のPZT薄膜をトランスファー法でガラス基板に転写する(図2)。詳細な報告はなかったが、次のようなプロセスだと推察している。

 すなわち、Si基板にMgOまたはZnOの犠牲層を介してPt/PZT/Pt層を形成する。その上にAu層を形成し、ガラス基板に形成したAu層に熱圧着する。MgOまたはZnOをそれぞれリン酸または酢酸でエッチングして、Pt/PZT/Pt層をガラス基板に転写する。

 以前、著者らは、サファイア上に成膜したBST薄膜をLT基板に転写して、集積化チューナブルSAW(表面弾性波)フィルターを開発した(関連記事1)。そのときは犠牲層を使わず、レーザー剥離プロセスを使った。いろいろ試したものの、BST薄膜に適した犠牲層が見つからなかったためである。

図2 ガラス基板上に転写されたPZT薄膜
(写真:F. Casset, G. Le Rhun, B. Neff, B. Desloges, C. Dieppedale, S. Fanget, LOW VOLTAGE HAPTIC SLIDER BUILT USING SOLGEL THIN-FILM PZT ACTUATORS REPORTED ON GLASS, Proc. IEEE MEMS 2019, pp. 990-993.)
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