2019年3月29日、米国ライドシェアサービスで市場シェア2位のリフト(Lyft)が株式上場(IPO)を果たした。5月には最大手のウーバー(Uber Technologies)もIPOを予定している。ライドシェアサービスが現状では“皆無”と言っていい日本では想像し難いが、もはや同サービスは米国市民の生活に不可欠なものになっている。ライドシェアは日本でも注目度が高まっているMaaS(マース)の中核を成すサービスである。このサービスの実態、ビジネスの現状、テクノロジーの活用、そして未来はどうなるのか・・・。元日本企業の駐在員で、シリコンバレーに24年在住し、現在はウーバーの競合であるリフトの運転手をしている吉元逸郎氏に、運転手だから知っている実情を含めて連載形式でライドシェアサービスを解説してもらう。(内田 泰=日経 xTECH)

 「リフトは週にいくらもうかるんだい?」

 ルームミラーに目をやると、やつれ顔の男性から、そう、ぶっきらぼうに尋ねられた。筆者が運転する、リフトの車に乗って来た客は、数年前に南米からやってきてタクシーの運転手をしていると言う。

 一瞬、後ろから首を絞められるのではないかと警戒したが、話せば気さくな中年男性で、これからハーツ(Hertz、米国の大手レンタカー会社)に車を借りに行くところだと言う。

筆者とリフトの車両。サンフランシスコの市庁舎を望むアラモ・スクウェア公園のフルトン通りで撮影
(写真:筆者)
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 彼は今までタクシーの運転手をしていたが、仕事が減って生活ができなくなったのでリフトの運転手を始める事にしたという。自分は「メダリオン(米国の都市部でタクシービジネスをする権利で、ニューヨークでは2013年に平均1億円を超えていた価格が、現在は2000万円以下にまで暴落している)」を持っておらずラッキーだったと話した。

 その理由を聞くと、メダリオンを保有している会社や知人は借金をしてまで購入したが、メダリオンの価値が下がってしまい、辞めるに辞められない状態が続いているという。そういえば、借金を抱えたタクシードライバーやメダリオンのオーナーが自殺する事件も、時折ニュースで取り上げられている。

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