私は日経 xTECHにセキュリティー関連の記事を書くことが多い。会社や自宅のメールアドレスには大量のフィッシングメールが届くが、フィッシングかどうかはひと目見ただけで分かる。セキュリティーに対する意識は高いほうだと思っていた。

 ところが情けないことに、インターネットの詐欺に引っかかってしまい、約1万6000円も振り込んでしまった。そこからある方法を使って約2500円だけ取り戻すことができた。今回は番外編として、そのいきさつを報告したいと思う。

最初は「なかったことにしよう」と思った

 発端は2018年11月。その頃、私は万年筆に凝っており、2018年初めに廃業した海外メーカーの製品を探していた。その時点ではもう製品は生産されていないため、流通在庫しかない。

 インターネットで探していたところ、あるショッピングサイトでそのメーカーの製品を見つけた。価格は1万6210円で送料は無料。相場よりも少し安い値段だった。これを逃すともう手に入らないかもしれない。酒に酔っていたこともあり、勢いで購入ボタンを押した。

 それが11月20日のことだ。決済手段は銀行振り込み。翌日の21日に振込先の口座を案内するメールが来たので、すぐに1万6210円の代金を振り込んだ。

 ところがその後も、振込先の案内メールが立て続けにあと2回来た。しかも、最後のメールは「FW:」付きの転送メール。ずいぶん雑な対応だ。いやな予感がした。

 「もしかしたら詐欺サイトなのではないか」。そのときになってはじめて疑いを持った。そこで、そのサイトのドメイン名で検索をかけてみた。

 ビンゴだ。詐欺サイトの一覧を公開しているサイトに、そのドメイン名がしっかりと載っていた。もう商品が送られてくることはないし、代金も返ってこない。詐欺サイトに引っかかってしまったのだ。

 それが分かったときにまず思ったのは「なかったことにしよう」ということだった。自分が詐欺に引っかかるような愚かな人間だとは認めたくないという気持ちが猛然とわき上がってきた。「買ったときは酔っていたし、売り切れるかもしれないとあせっていたから」と自分自身に言い訳をしていた。

 1万6000円は痛いが、勉強代だと思ってあきらめようといったんは考えた。自分から言わなければ誰にも分からない。「詐欺に遭っても実際には届け出ない人が多い」という話を聞いたことがあるが、そうした人たちの気持ちが痛いほど分かった。

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