通信料金と端末代金の完全分離で携帯電話業界が激震に見舞われている。NTTドコモは新制度をどう受け止め、競合他社とどう戦っていくのか。NTTドコモの吉沢和弘社長に聞いた。

(聞き手は大和田 尚孝=日経 xTECH IT 編集長、榊原 康=日経 xTECH IT 副編集長)

吉沢 和弘(よしざわ・かずひろ)氏
1979年に岩手大学を卒業し、日本電信電話公社(現NTT)に入社。NTTドコモ(旧エヌ・ティ・ティ移動通信網時代を含む)では経営企画部や人事育成部などの担当部長を務め、2007年6月に執行役員第二法人営業部長。2011年6月に取締役執行役員人事部長、2012年6月に取締役常務執行役員経営企画部長を経て、2014年6月に代表取締役副社長。2016年6月に代表取締役社長(現職)。1955年生まれの64歳。(写真:的野 弘路、以下同)
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総務省が通信料金と端末代金の完全分離と共に、いわゆる「2年縛り」契約の違約金上限を1000円に制限するなど、従来とは大きく異なる規制案を打ち出しました。どう受け止めていますか。

 通信料金と端末代金を分離し、お客様がそれぞれを正しく比較・選択できるようにして競争環境を健全にしていく、という動きは我々も賛同しています。

 2018年から開かれた総務省の有識者会合で規制を設計するための論点は出ており、我々も意識していました。通信サービスの継続利用を条件としない場合の端末購入補助については、我々から「3万円まで」という案も示しました。

 結局は「1段階引き下げる」ということで、端末購入補助は「2万円まで」となりました。具体的な数字に対してどう対応していくか、または対応する必要がないのかをまさに検討しているところです。

料金改定は楽天の発表より後に

「2万円まで」という制約で、2019年6月に始めた「スマホおかえしプログラム」は見直すのでしょうか。

 スマホおかえしプログラムは、対象機種のスマートフォンを36回の分割払いで購入し、途中で端末を返却いただくことで最大12回分の支払いが不要になります。ここで2年後の下取り価格と、免除される最大12回分の支払代金の差額が「端末購入補助」と見なされる可能性があるわけです。

 対象機種をすべてチェックしたわけではありませんが、多くは2万円の枠内に収まると思っています。今後、対象機種をどうするかというのはありますが、プログラムの仕組みそのものを変える必要はないと考えています。

 さらに低価格のスタンダードモデルには端末購入補助を全く出していません。2017年に投入した低料金プラン「docomo with」との組み合わせでも「安くて性能も十分だ」と、お客様から好評でした。ですのでスタンダードモデルは今後も充実させていきます。

契約の期間拘束に対する規制はどうでしょうか。違約金の上限は1000円、期間拘束の有無による月額料金の差は最大170円に制限されます。必然的に料金プランの再設計が必要になると思います。

 当然、影響は受けます。とはいえ、2019年6月に新料金プランをスタートしたばかりであり、そう簡単に値上げというわけにもいきません。

 「ギガライト」を例に挙げると、2年契約の下限である「月額1980円」をそのまま据え置いて期間なしの単月契約を月額2150円に下げるという考え方もあれば、単月契約の料金を現行の月額3480円に据え置いて2年契約の料金を上げる方法もあります。この幅の中で決まってくると考えています。

 一方、(2019年10月に新規参入する)楽天モバイルがどういう料金プランを設定するか分かりません。その動きを視野に入れて検討しているところです。

 楽天はポイントやEC(電子商取引)、金融などグループでさまざまなサービスを持っています。通信料金を単体で出してくるかどうかさえ分かりません。ポイントや他のサービスの利用条件なども絡めて料金プランを出してくる可能性があります。

 早々に料金プランを改定して、楽天の動きを受けてまた改定するとなればお客様を混乱させてしまいます。

楽天の料金プランが出るより前には改定しないのですね。

 しないことになると思います。さらには現時点で「(総務省の新ルールの影響による)値上げはしません」などと断言することもできません。

 今回は(値上げにつながる)新たな要素が出てきましたが、我々は基本的にはお客様がより使いやすいよう値下げの方向で取り組んできました。楽天も含めて、これらの要素を加味しながら判断していきます。

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