国内の銀行として2000年代初めにいち早くオープン勘定系を採用した新生銀行。邦銀の常識を覆す選択として注目を集めた。ただその後は世界景気低迷や経営不振が重なりシステム投資が停滞。大規模なシステム障害を起こすなど苦難が続いた。スマートフォンとFinTechの時代に新たな成長戦略をどう描くのか。工藤英之社長に聞いた。

(聞き手は大和田 尚孝=日経 xTECH IT 編集長、山端 宏実=日経 xTECH/日経コンピュータ)

工藤 英之(くどう・ひでゆき)氏
1987年東京大学法学部卒、第一勧業銀行(現みずほフィナンシャルグループ)入行。1998年に米ペンシルベニア大学ウォートン校で経営学修士号(MBA)取得。不動産関連投資を手掛けるエートス・ジャパンやMID都市開発(現関電不動産開発)を経て、2010年に新生銀行に入行。2015年に社長就任(現職)。55歳。(写真:村田 和聡、以下同)
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FinTechの台頭などで銀行の経営環境は大きく変わっています。どのような成長戦略を描いていますか。

 2019年5月に発表した2021年度までの中期経営計画で、異業種の企業と組んだ「価値共創」を通じて成長することを基本戦略に据えました。具体策の1つが、オープンイノベーションを通じた当行と他社サービスとの融合です。デジタル技術や様々なデータを積極的に活用して他の企業や組織のサービスと当行のサービスを組み合わせ、新しいサービスをつくりだすことを目指します。

 パートナーとなる企業にはAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を通じて、銀行やローンといった当行グループの金融機能や業務プロセスを必要に応じて提供できるようにしました。中計では「FaaS(ファイナンス・アズ・ア・サービス)」という言葉で表現しています。

 もはや金融機関だけが金融サービスを提供する時代ではありません。異業種の企業も自らのサービスに金融機能をどう組み込むか頭をひねっています。そういう世の中の大きな流れのなかで、外部の企業のサービスに我々が持つ競争力のある金融サービスを組み込んでもらう発想は自然なものです。

具体的なサービスの例はありますか。

 近くNTTドコモと組んで提供を始める「新生銀行スマートマネーレンディング」は協業の第1弾です。NTTドコモの携帯電話回線契約者向けに、融資などの金融サービスを提供します。個人向け無担保ローンのレイクで培ってきた当行グループの審査ノウハウにドコモの顧客データから算出した信用スコアを組み合わせて、利用者1人ひとりに合わせた融資条件を提案します。

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