人工知能(AI)を活用するとうたうセキュリティー製品が市場に次々と登場している。セキュリティーベンダーの多くは「AIを使えば今までに防げなかった脅威を検出できる」と口をそろえる。

 だがAIを使うのは防御側だけでない。攻撃側も使う可能性がある。その1つが「スマートマルウエア」だ。ここでのスマートマルウエアとは、状況を自分で判断し、最も効果が高いタイミングで攻撃を仕掛けるマルウエア(ウイルス)を指す。「AIウイルス」ともいえるだろう。

 2019年9月、中国で開催された国際会議において米イリノイ大学の研究者グループは、あるスマートマルウエアのデモに成功したと発表した。

 このスマートマルウエアが対象にするのは、遠隔からの手術を可能にする外科手術ロボットである。

 スマートマルウエアは施術中のロボットの動きを学習。最も危ない瞬間を見計らって邪魔をして、手術を失敗に追い込む。スマートマルウエアの介入は最小限なので、周りからは偶発的な事故にしか見えないという。

 発表された論文を基に、この「悪魔的」といえるスマートマルウエアを紹介しよう。

攻撃対象は手術ロボット「Raven-II」

 論文が発表されたのは、世界各国で毎年開催されているサイバーセキュリティーの国際会議「RAID」。RAIDとはResearch in Attacks Intrusions and Defensesの略。第22回となる「RAID 2019」は中国で開催された。

サイバーセキュリティーの国際会議「RAID 2019」のWebサイト
(出所:RAID 2019)
[画像のクリックで拡大表示]

 様々な攻撃手法や防御手法が発表される中、悪魔的なスマートマルウエアも発表された。

この先は会員の登録が必要です。今なら有料会員(月額プラン)が12月末まで無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら