強いストレス状態が続いて潰れてしまった部下がいる。このような部下を復活させ、以前と同じパフォーマンスを発揮してもらうにはどうすればよいだろうか。リーダーの視点から部下の支援方法を解説する。

 潰れた部下の周りでよく見られるのが、チーム内が殺伐としていて、誰も相談できる人がいないといった状態だ。部下とリーダーの関係やチームメンバー同士の人間関係が悪い場合、ストレスをはね返せず潰れてしまいがちだ。繊細な部下は孤立して、自分の中に問題を抱え込んでしまうのである。

 このような状況を改善するには、まずチーム内の人間関係の改善が必要である。潰れた部下がリーダーやチームメンバーと本音で話せるような環境をつくりたい。それが結果的には、潰れた部下のリカバリーにもつながっていく。

 ただし、人間関係が既に悪化している場合、一朝一夕でなんでも話せるような関係を築くのは難しい。潰れた部下やメンバーと対話を重ね、信頼を積み重ねることが重要だ。そのためにリーダーが気を付けることは、以下の3つである。

  • 部下とチームを観察する
  • 部下の話を受け止める
  • 部下を否定しない

 では、詳しく見ていこう。

 リーダーがまずやるべきなのは、潰れた部下を含むチームメンバーをよく観察することだ。リーダーが部下の表情や反応をつぶさに観察し、どんな精神状態にあるかを推察するわけだ。

 精神的に追い込まれている部下は、表情やしゃべり方、姿勢に特徴が出る。例えば、過度なストレスがかかっている場合、顔の筋肉がこわばり、能面のような顔になることがある。緊張や不安を抱えていれば、呼吸が浅くなったり、声が上ずったりする。

 部下のこうした反応に応じて負荷状況をさぐり、言葉の使い方や任せる仕事の内容を調整するとよい。潰れた部下のケアは、早ければ早いほど復活するまでの期間は短くなる。部下は、来たばかりのリーダーに本音を打ち明けるまでには時間がかかるかもしれない。しかし、「このリーダーは部下の苦しい状態を気付いてくれる」と感じ、本当の気持ちを語ってもらえるようになれば、状況改善への突破口になる。

メンバーの関係性を把握することから始める

 潰れた部下の復活には、チームメンバーの協力が不可欠である。悩みを相談できたり、ささいなことでも話し合えたりするチームメンバーがいれば、精神的にも救われるはずだ。リーダーは、メンバー同士のコミュニケーションを円滑に進める手助けをするとよい。それには、チーム内の各メンバーの関係を把握するのが第一歩だ。

 チーム内の関係性を把握するには、「人間関係マップ」を作るのが有効だ。客観的にチームの人間関係を可視化できる。自分のチームはなんでも話せる開かれた関係になっているか、潰れた部下と最も関係が深いメンバーは誰なのか、といったことを可視化できる。

 人間関係マップは、テレビドラマの登場人物相関図をイメージすると分かりやすいだろう。まず自分とチームメンバーの名前を書く。誰をどの位置に書くかによって互いの関係性を読み解くきっかけになる。単なる組織図のような書き方ではなく、心理的な距離や仕事の内容の関係性なども表すように書いてみよう。自分が中心でなくてもよい。そして、名前と名前を線で結ぶ。線の太さで関係性の深さを表す。

 決まったフォーマットはないので、自分なりに決めた分類で関係性を表現していこう。例えば、業務上のつながりだけなら細い線でつなぎ、仕事以外の悩みも相談できるなど密な関係性があるなら太線でつなぐ。長年の付き合いで多くを語らずとも分かり合える関係であれば2重線にする、点線は業務でほぼつながりはなくあまりよく知らない関係といった具合だ。犬猿の仲の2人がいる場合は、線の上に「×」を描くのもよいだろう。

 作成した人間関係マップを基に、チーム内の人間関係を分析してみる。その上で潰れた部下のリカバリー法を考えてみよう。

チームの把握に役立つ人間関係マップ
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 例えば、上図のような人間関係マップを描けたとする。もし、堂島さんが潰れたならば、つながりの強い瀬島さんと一緒に近況を聞いてみるとよいだろう。プロジェクトでは、人間関係マップを参考にしながらチーム分けや、座席の配置などを考えるとよい。隣に座る人同士は、良くも悪くも影響を及ぼし合うので、潰れた部下が安心できる環境を整えることが肝要だ。

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