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二転三転の末、何とか完成した5ドア車のデザイン。販売店向けの内覧会にこのモックアップを持ち込むと、その評価は上々。確かな手応えをつかんだ松本らは、夜の街に繰り出す。だが同じ夜、彼らを震撼させる、ある決定がなされようとしていた。

左から中山幸夫氏、釜神武司氏(写真:栗原克己)
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「売れそうですね」

「売れる売れる、絶対売れる。販売のプロがあそこまで褒めるんだから、間違いないだろ」

「もう、1日も早く売りたくてうずうずしているって感じでした」

「うんうん、今すぐよこせとか言われたしな」

 販売店に向けた新型車の内覧会は、大盛況のうちに幕を閉じる。「フィット」の開発を指揮する松本宜之たちは、その興奮を抱きつつ夜の街に飛び出していった。

 だが、その好評ぶりはいささか度が過ぎていたのかもしれない。松本たちの志気を鼓舞したばかりでなく、意外な人までも動かしてしまったのだから。内覧会に参加していた吉野浩行社長その人である。

 これはイケる。その確信はつかんだ。で、どうする…。

 答えはすぐに出た。

 やるしかない。

 松本らが歓喜の雄叫びを上げていたちょうどそのころ、吉野社長は首脳陣を集め、その重大な決定を告げていた。

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