携帯事業への参入、送料体系の統一…。楽天が「弱点」の克服に向け新たな挑戦に動き始めた。鍵を握るのが、AI(人工知能)をはじめとするテクノロジーだ。

 「勝負の年になる」。2019年の年明け早々、楽天の幹部社員のスマートフォンが鳴った。画面には三木谷浩史会長兼社長からのメッセージ。去年にも増しての奮起を促すとともに、現状に甘んじることへの危機感の共有を呼びかける内容だった。

 三木谷会長が今年仕掛ける勝負はもちろん、10月に予定する携帯電話事業への新規参入だ。楽天は25年までに基地局整備などに最大6000億円を投じる計画。NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクに続く第4のキャリアとして競争を促し、「携帯電話料金を下げて消費に回してもらえるようにする。携帯電話から生まれるデータと楽天グループの様々なサービスを組み合わせて、さらに付加価値を高める」(三木谷会長)。

 三木谷会長が幹部社員に発破をかけたのにはもう1つ理由がある。楽天にとって長年の懸案だった施策に踏み出そうとしてるからだ。

 それが楽天市場の送料体系の統一。消費者が楽天市場で商品を購入した際に、送料を無料にする最低購入金額を全ての店舗で統一する。現在は店舗によって3000円だったり5000円だったりと、送料を無料にする最低購入金額が異なる。これを一律にすることで、消費者の満足度を高める狙いだ。

「楽天新春カンファレンス2019」で講演する三木谷浩史会長兼社長
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最大の懸案、送料体系にメス

 「楽天の歴史の中でも最大のチャレンジかもしれない。楽天市場の送料体系の統一という難題に皆さんと一緒に取り組んでいきたい」。19年1月30日、東京・港にあるグランドプリンスホテル新高輪。楽天の年次イベント「楽天新春カンファレンス2019」で、三木谷会長は聴衆に呼びかけた。客席を埋めていたのは楽天市場に出店するEC(電子商取引)サイトの運営担当者だ。

 「楽天市場の最大の弱点は送料などの統一性がないことだ。送料体系の統一に今年は何とかメドをつけて、みなさんと一緒に成長していきたい。ぜひ前向きにとらえていただきたい」。三木谷会長は前向きにという言葉を強調し、聴衆に訴えた。楽天市場は店舗運営を出店者に任せるモール型で、サイトの品ぞろえやデザインはもちろん送料体系も店舗ごとに異なる。送料無料ラインを同じにすれば店舗によっては利益が目減りする。

 大きな反発が予想されるにもかかわらず楽天が送料体系にメスを入れるのは、EC事業の最大のライバル、米アマゾン・ドット・コムに後れを取る大きな要因とみているからだ。送料が原因で買うのをやめたとする消費者の割合は、アマゾンより楽天市場の方が高いという。「海外の事例からも消費者の声からも、統一した送料体系が望まれているのは明らかだ」(三木谷会長)。

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