中村大介
高収益化支援家、弁理士

 「うちは、技術プラットフォームの意識が希薄なんです。情けないですよ」。数年前、私にこう語ったのは、とあるクライアント企業(A社)の技術担当役員(以下、X部長)です。

 A社では、次のような状態が続いていました。曲がりなりにも面白い技術を多数保有しているA社は、特徴のあるサンプルを展示会でよく発表していました。サンプルの展示は奨励されていたため、多くの技術者がこぞって展示会に出展していました。

 その後、いわゆるサンプルワークを行います。サンプルワークとは、試作品を顧客に提供してフィードバックを得ることです。展示会に出して反応を見るのですが、大抵は顧客から「早くサンプルをくれ」と言われるので、苦労しながら試作品を仕上げて、何とかサンプルを提供することになります。

 と、ここまでは活発で非常に良いことです。

 あまり良くないのはここからです。サンプルを提供した後、担当者たちが顧客を訪問します。顧客が利用する用途や、スペックなどの情報を引き出したいからです。打ち合わせでは顧客から用途を聞いたり、利用に当たっての具体的な話をしたりして、情報を引き出したいと思っています。打ち合わせがうまく行けば、顧客は「こんなことできる?」と聞いてきます。

 顧客からこう打診されると、担当者はうれしくて「持ち帰って検討します!」と答えます。顧客から情報を引き出せたと手応えを感じ、意気揚々と会社に戻っていくのです。

 ところが、社内に持ち帰って技術者に「お客様からこんな相談があるんだけどできる?」と相談すると、技術者たちはこう答えるというのです。

「できると思うけど時間がかかる」

「今は忙しいから無理」

「できない」

 そうこうしているうちに時は過ぎ、顧客からの引き合いは、雲散霧消してしまっていたそうです。

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