中村大介
高収益化支援家、弁理士

 儲(もう)けるには論理が必須です。仕事柄、私は技術者や経営者を対象にコンサルティングや研修を行っています。大手企業には研修形式で仕事の成果をつくってもらうこともあります。

 よくある研修の題材の1つに「事業テーマのブラッシュアップ」があります。研修の場で、技術者にフォーマットを提供することがあるのですが、どんなクライアント企業でも必ず起こるのが、「フォーマットの空欄をとりあえず埋めました」的な報告です。

 そうした報告を見聞きするたびにこう思います。

「おいおい、本気か?!」と。

 もちろん、口にはしませんが、そうした感想を持ってしまうということです。参加している技術者は真顔で説明してきます。そのため、こちらも真剣に聞くのですが、「本気で言っているのかな?」と思います。

 どういうことかといえば、私には「儲けの論理」が欠けているとしか思えないのです。フォーマットには、項目と空欄が用意されています。項目には書くべき内容があります。書くべき内容とは、「なぜ儲かるのか」です。

 コンサルタントとしては、空欄には儲かる論理を書いてほしいと思っています。そのためにフォーマットも作るし、事前に研修もします。しかしなぜか、技術者はそれをスルーして、それらしい情報を書いてくる。それは儲けの論理ではなく、「論理っぽいこと」になっています。

 そうした論理っぽいことの例を2つ紹介しましょう。典型的なダメなケースです。

2つの典型的なダメなケース

 典型的にダメなケースの1つ目は、市場予測です。フォーマットには「市場のトレンド」の項目があります。ここに、調査会社の調査レポートを参照して右肩上がりのグラフを提示しているケースです。技術者の説明はこうです。「このように市場は伸びそうです。このテーマは市場のトレンドに沿っています」と。

 残念なのは、これだけの説明に終わることです。儲かるためには、市場に沿っていればよいという話ではありません。なぜかと言えば、市場に沿った行動は、誰もがするものだからです。こうした技術者の説明は、さながら「競争の海に飛び込みます」というふうに聞こえてしまいます。それで、「おいおい、本気か?」と言いたくなるのです。

 典型的にダメなケースの2つ目は、ロードマップです。ロードマップに縦のつながりが全くないケースです。通常、ロードマップは上から[1]トレンドの変化、[2]市場・顧客の変化、[3]商品の変化、[4]技術開発の道程、という項目があります。私もそうしたフォーマットを提供します。

 儲けるには、顧客に買ってもらうのは当然。買ってもらうために、トレンドによる顧客の変化を先取りして技術開発し、新商品を出そうとするのです。ロードマップはその表現方法。そのため、ロードマップは上から順番に流れるものなのです。

 「縦のつながりがない」というのは、上からの順番通りに読めないということ。悪いケースでは逆に、下から流れます。多くの技術者は「今このテーマをやってまして、この商品を出せそうです」という説明をしますが、上流にあるトレンドや市場・顧客変化とは無関係だったりすることが多々あります。ここでも、「おいおい、本気か?」と思うのです。

 あなたの会社にもこうしたダメなケースがあるのではありませんか。

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