米マイクロソフト(Microsoft)は2019年2月24日、新型のMR(Mixed Reality)用ヘッドマウントディスプレー(HMD)「HoloLens 2」を2019年内に発売すると発表した。従来機種の「HoloLens」に比べて、視野を広げ操作UIを改善するなど、正常進化を遂げた。この連載では、初代となるHoloLensを分解し、その構造を分析する。(前回はこちら



 今回分解した米マイクロソフト(Microsoft)の「HoloLens」は、HoloLensを装着した複数の人で共有でき、同じ物体を同時に様々な視点から観察できる。このSLAM(Simultaneous Localization And Mapping)に基づくAR(Augmented Reality)を実現するためにHoloLensでは、大きく2つの情報処理に相当な開発コストをかけたとみられる。1つが、周囲の空間や物体の形状、ジェスチャーを高精度に認識する“見る”技術と、既存のARグラスに比べて広い画角で映像を表示する“見せる”技術である。

 “見る”技術として、SLAMを実現するためのセンサー類や独自ICを搭載。“見せる”技術として複雑な光学系を搭載している。本記事では、まず独自ICを搭載するメイン基板を分析する。

三日月形のメイン基板に両面実装

 HoloLensの頭脳に当たるメイン基板は、本体正面部の筐体の天板にぴったりと入る三日月形である(図1)。基板は両面実装で、筐体天板に近い基板上面にはストレージや通信モジュール、Microsoftの社名が記載された映像表示用ICなどを搭載。基板下面にはマイクロプロセッサーやDRAMなど重要な情報処理を担うIC群と、コネクター類を実装する。

図1 三日月形のメイン基板に部品を両面実装
メイン基板は額の上に位置し、三日月形をしている。2つのDRAMや電源ICの上には、ピンク色の放熱ペーストが大量に塗られていた。(部品の種類やメーカー名はテカナリエの清水洋治氏の解析または本誌推定)
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 具体的には、基板上面にストレージとして東芝のeMMC対応NANDフラッシュメモリーを実装。容量は64Gバイト。通信モジュールは村田製作所製で、Bluetoothと無線LAN(Wi-Fi)のコンボチップを含む。BluetoothはHoloLens専用コントローラー「Clicker(クリッカー)」や外付けキーボードとの接続に、Wi-Fiはインターネット接続に使用する。

 この他、Microsoftの重畳映像表示用のIC、米シーラス・ロジック(Cirrus Logic)のオーディオ処理ICなどが基板上面に搭載されている。

 一方、基板下面には、「ELPIDA」と記載された米マイクロンテクノロジー(Micron Technology)のDRAM(LPDDR3 SDRAM)が2個実装されている。容量はいずれも1Gバイトだ。DRAMの下には、Microsoftが独自に設計したアクセラレーターIC(後述)と米インテル(Intel)のAtomプロセッサー「x5-Z8100」が、それぞれPoP(Package on Package)実装されている。x5-Z8100はWindows 10に対応するマイクロプロセッサーで、HoloLens全体のシステム制御を担う。

 これらのDRAMとローム製の電源ICに、放熱用のTIM(Thermal Interface Material)とみられるピンク色のペーストがびっしりと塗られ、その上を金属シールドが覆っている。

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