クルマの表示デバイスは、2040年に向けて役割が大きく変わる(図1)。現在は運転支援システムの補助役として、運転者だけに情報を伝えているが、2025年以降は室内全体に映し出せるようになる。表示内容は、安全情報からエンターテインメントのコンテンツに広がっていく。
直近で進化する表示デバイスがHUD(ヘッド・アップ・ディスプレー)だ。運転者の視線移動を減らし安全性を向上できる。調査会社の富士キメラ総研の予測では2016年のHUDの世界市場は747億円、これが2025年には約4倍の3058億円に達するという。
日本精機やデンソー、ドイツ・コンチネンタル(Continental)などHUDを手掛けるメーカーに加えて、三菱電機やパイオニア、アルプスアルパインなどが続々と参入を表明。覇権争いは激しさを増している。
AR表示できるHUD
安全性の向上を追求し、2017年にはAR(拡張現実感)を適用したHUDの量産が始まった。ARは、経路案内の矢印や人の飛び出しを警告するイラストなどを、車両前方の風景に重ねて表示する。HUDで生成した映像をフロントウインドーに反射させ、その映像と対象物の位置を重ね合わせるように制御して実現する。
AR表示を可能にしたHUDはデンソー製で、トヨタ自動車「レクサスLS」が搭載する(図2)。Continentalは欧州の高級車へ供給を目指して同様のHUDを開発中だ。さらに、リコー子会社のリコーインダストリアルソリューションズは、AR表示を実現するHUDの光学表示系ユニットを開発し、2020~2021年の量産を目指す。HUDメーカーや車両メーカーに売り込む。
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