クラウドファンディングサービスの「Makuake(マクアケ)」(運営はマクアケ、東京・渋谷)は2019年8月5日、プロジェクト実行者や流通関係者などに向けたイベント「Makuake MEET UP DAY 2019」を実施した。「大手企業における新規事業創造チャレンジの実態」というカンファレンスでは、資生堂やNECの新規事業開発担当者、テレビ東京のプロデューサーが登壇し、大企業の中で新規事業を開発したり、新しいものづくりをしたりする上で重要なポイントについて語られた。

「大手企業における新規事業創造チャレンジの実態」カンファレンスの様子
「Makuake MEET UP DAY 2019」の各種セッションの中でもとりわけ盛況で立ち見が出るほどだった。(写真:安蔵 靖志)
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「大企業から新しいものが生まれていないという問題意識があった」(テレビ東京)

 「大企業から新しいものが生まれていないという問題意識があった」と話したのは、テレビ番組「ガイアの夜明け」を手掛けるテレビ東京 プロデューサーの山本充氏。山本氏は企業の商品開発を企画段階からサポートするマクアケのプログラム「Makuake Incubation Studio」をガイアの夜明けで紹介した。

テレビ東京 プロデューサーの山本充氏
(写真:安蔵 靖志)
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 「記者やディレクターとして『ワールドビジネスサテライト(WBS)』などの番組を担当していました。担当していた自動車分野で以前は、燃料電池車や電気自動車、スポーツカーなど、日本企業が元気にいろいろな新しいモノを出していたという肌感覚がありました。それがリーマン・ショック以降、どんどん内向きになっている感じがしたのです。安くてリーズナブルなものづくりは中国に負けるし、独創的なものづくりはアップルなどに代表されるシリコンバレーの企業に負けており、元気がないなという感覚を持っていました」(山本氏)

 山本氏は続ける。

 「Makuakeのセミナーで大企業の方々が集まっていて、本当はいろいろなアイデアもあるが、大企業特有の縦割りや前例主義を打ち壊せないで悩んでいるという話を聞きました。1個でも打破すれば、日本企業には実力もあるし、いいものづくりができるのではないかと考えたのです」(山本氏)

 繊維メーカーの東洋紡で新しいものづくりに挑戦する社員などを取材した山本氏は、「何か火が付けば、それをやりたいという人は絶対にその中にいるんだなと感じた」と語る。

「ビューティーをできる人がそんなに育っていなかった」(資生堂)

 資生堂の荒木秀文氏は「ビジネスを取り巻く環境と自社の取り組みの乖離(かいり)に強い危機感を持った」と新たなものづくりへの挑戦を始めた動機を語る。荒木氏は同社で研究者としてスキンケア製品などの製品開発に携わり、現在はR&D戦略部長を務める。社外の企業や大学、スタートアップなどと幅広く連携して技術開発を進めるオープンイノベーションなどを同社で推進している。

資生堂 R&D戦略部長の荒木秀文氏
(写真:安蔵 靖志)
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 「これまで私たちは化粧品を中心にやってきましたが、お客様が美しくなる手段は化粧品だけではありません。最近はエステや美容、医療が一般的になってきたことに危機感を持ち、『日本の化粧品会社』ではなく『グローバルのビューティーカンパニー』に生まれ変わろうと変革を進めています。化粧品からビューティーに定義を広げて自社の研究開発体制を振り返るとノウハウやそれをできる人がそんなに育っていません。これから手掛けるのはとても自前では難しい状況です。だからこそもっと皆さんと一緒にイノベーションを創出していきたいと思っています」(荒木氏)

 資生堂は他社とのオープンイノベーションを推進するため、2019年4月に研究所を神奈川県横浜市のみなとみらい地区に移転して「資生堂グローバルイノベーションセンター」をオープンし、7月にはオープンイノベーションプログラム「fibona(フィボナ)」をスタートした。