用件が分からない重要メール

 第2の問題メールは、文章の書き方がまずく、用件が正確に伝わらないメールである。重要な連絡をメールだけで済ませるケースもあるだけに、自分に何をしてほしいのか要領を得ないメールが届いたとき、おいそれと無視できない。

 大手ITベンダーでプロジェクト課長を務めるD氏は、要領を得ないそうしたメールを受け取ることがしばしばある。特にメーリングリスト経由で届くメールに多いという。例えば次のようなメールだ。

関係者各位

お疲れ様です。
お客様から下記のメールが届きました。
○○日以降に打ち合わせをする
ということでよいでしょうか。
(以下、お客様から届いたメールの引用)
……

 「何の件であるかは、最後まで読めば大体つかめるとしても、自分に関係があるのか、あるとしたら何をしてほしいのか、という肝心なことが分からない」(D氏)。D氏はそうしたメールを受け取るたびに、できる限り送信者に意図を確認している。

 しかしメーリングリスト経由でメールを受け取った人が、すべてそうするとは限らない。「用件を明確に伝えるメールを書かないと、放置されたり、誤解を生んだりしかねない。この危険性を十分に認識する必要がある」(D氏)。

メールがケンカの原因に

 大手金融会社のシステム部門に勤めるE氏は数年前、メールでのやり取りによって年上の同僚SEを怒らせた苦い経験がある。その同僚とは関係が決裂し、今でもほとんど口を聞いてもらえないという。

 当時Eはプロジェクトマネジャーとして別の拠点にいるSE数人を指揮し、業務システムの開発プロジェクトを手掛けていた。このメンバーの中に年上の同僚SEがいた。E氏はそのとき多忙を極めていたため、もっぱらメールでメンバーのSEと連絡を取った。これが落とし穴になった。

 E氏が送ったメールは、「○月○日までに、以下の作業を終えてください」という一方的な指示ばかり。「実際に会えば相手の事情を聞いたりねぎらったりするのに、メールでは不思議と用件だけを伝える冷たい印象の内容になっていた」(E氏)。

 メンバーは、ほかの案件も抱えて多忙だった。にもかかわらず一方的に指示するだけのE氏のメールに態度を硬化させ、「その日までにはできません」というメールを返したり、意図的に無視したりするメンバーも出ていた。これに対してE氏は焦りもあり、「やってもらえないと困ります。作業と期日は以下の通りです」というメールを送りつけるばかり。メンバーとの溝はどんどん深まっていった。

 そんな調子で3カ月ほど経ったころ、E氏はようやく自分のメールの問題に気付いた。そしてメンバーと泊まりがけのミーティングを開くなどして、事態の収拾を図った。それでも年上の同僚SEに、感情的なしこりが残ったという。このことは、メールによって心が傷つくという問題の根の深さを表している。

 さてあなたは、受け取ったメールを読んだときに、冷たい印象を感じて当惑したり、ぶしつけな表現に腹を立てたりしたという経験はないだろうか。このように書き手と読み手の間に感情のもつれやしこりを生み出すメールが、第3の問題メールだ。

 実際、メールによる“ケンカ”は珍しくない。あるIT企業で取材した話を基に、ケンカに発展したメールのやり取りを以下に示した。実物とは状況設定と文章表現を変えているが、単に議事録の修正を依頼しただけなのに、売り言葉に買い言葉でどんどん怒りの感情がエスカレートしていくことが分かるだろう。

感情的なトラブルを生むメールのやり取りの例
ビジネスライクな表現のメールは、読み手の解釈ひとつで、書き手が高圧的にものを言っているように見えたり、怒っているように見えたりする。こうした誤解が火種になって感情的なトラブルに発展することがある
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