IT現場には問題メールがはびこっている。本特集では日経ITプロフェッショナルの過去記事を再編集した。問題メールのパターンを知り、具体的な解決策を5日間でマスターしよう。

 メールを書く力。それは、チームで仕事をするITエンジニアにとって欠かせない「コミュニケーションスキル」の中核と言える。

 あなたが日々やり取りするメールの件数は近年、急速に増えていないだろうか。実際、ITの現場では、コミュニケーションの手段としてメールの比重が高まっている。

 「報告や連絡のような一方向で終わるコミュニケーションだけでなく、相談事や議論など何度も双方向のやり取りが必要なコミュニケーションにも使うケースがある」(プロジェクト経験が豊富なA氏)からだ。今でこそチャットツールが普及してきたが、まだまだメールのやり取りは多いはずだ。メールでうまくコミュニケーションを取れなければ、チームの中で中心的に仕事をするのに支障をきたす状況が生まれつつある。

 しかもメールは、ITの現場で使うだけのコミュニケーション手段ではない。部下の状況を把握する、対立した意見を調整する、社外に人脈を広げる──。メールは様々な場面で業務の生産性や質を高めたり、それに自分のスキルを伸ばすことにも役立ったりする。使い方次第で、「ITエンジニアとして自分を高めて行くための強力なツール」(A氏)になり得るのだ。

迷惑な“問題メール”

 しかしメールは決して万能ではない。使い方を誤ると逆に仕事の効率を下げたり、ともすればコミュニケーション上のトラブルを招いたりする。

 現場への取材を重ねた結果、多くの人がメールの利点を強調する一方で、「メールでのコミュニケーションにはリスクがある」という認識を持ち、それを防ぐための手立てを講じている。例えばあるネット企業のB社長は、「長々と文章を書いたり、用件を添付ファイルとして送ったりする人にはやめるように注意している」と話す。そうしたメールが社内でやり取りされると、仕事の効率が下がるからだ。

 メールを書いた人に悪気は無くても、結果として、読み手の仕事の効率を下げたり、コミュニケーショントラブルを引き起こしたりする問題メールが存在する。あなたも日頃、受け取って困るメールがあるはずだ。それはどんなメールだろうか。逆にあなた自身が、そういうメールを書いていないだろうか。

 以下に、多くのITエンジニアを悩ます典型的な3つのタイプの問題メールを挙げる。

典型的な3つの“問題メール”
読み手の視点に立って、受け取りたくない“問題メール”の3つのタイプを挙げた。こうしたメールがコミュニケーションを阻害し、仕事の生産性を下げる原因になる
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処理のリズムが崩れる

 問題メールの第1のタイプは、読み手にとって処理しづらい手間のかかるメールだ。今や1日に数百件のメールを受け取るITエンジニアは決して珍しくない。そんなITエンジニアにとって、メールの処理にかかる時間は切実な問題になっている。

 ネット専業の日用雑貨卸売会社でシステム部門の責任者を務めるC氏が1日に受け取るメールは約1000件。社内でメーリングリストを立てて、報告や連絡だけでなく、議論や相談などにも幅広く使っているためだ。

 C氏はシステムの責任者という立場で、社内SE同士のメーリングリストを使ったやり取りにも適宜目を通し、アドバイスをしている。1日に延べ5時間ぐらいメールの処理に忙殺されることもあり、「集中力を高めて処理しないと、自宅にまで仕事を持ち帰ることになって睡眠時間が削られたり、ほかの仕事に影響が出たりする」(C氏)。

 そんなC氏にとって困りものなのが、サブジェクト(件名)がいい加減で中身が分からないメールや、何が言いたいのか最後まで読まなければ分からないメールだ。そうしたメールが届くと、「単に処理に時間を取られるだけでなく、集中力を保って次々と処理していくリズムが崩れる」(C氏)。

 時間が無いからといって、サブジェクトをいい加減に付けたり、内容をきちんと整理せずに書いたりするメールを送ると、相手の仕事を妨げかねない。気軽に出せることはメールの利点の1つだが、それだけ相手に迷惑をかけやすい、ということでもあるのだ。