(1)過去6年間の出題傾向

 建設環境には、騒音や振動などの生活環境と生態系などを対象とした自然環境の大きく二つの分野があり、さらにそれぞれ計画と施工に分かれます。下の表は、2013年度から18年度までの6年間の出題概要です。II―1は4問から2問を、II―2とIIIは2問からそれぞれ1問を選択する形でした。

問題番号 出題概要 分野*
2018年度 II 1―1 低周波音の発生源と発生原因および対策 生活 計画
1―2 底層溶存酸素量が追加された環境基準の改正の背景と目的、内湾などでの対策と改善メカニズム 生活 計画
1―3 再生可能エネルギーの導入状況と太陽光発電事業において留意すべき環境面での課題 生活 計画
1―4 定着段階に応じた外来種対策の必要性、未定着と定着後のそれぞれの段階で対策する際の留意点 自然 計画
2―1 道路事業の環境影響評価において「生態系」を配慮事項とした際の調査や予測、評価の手法、事業の位置に関する案と予測・評価結果 両分野 計画
2―2 風力発電事業の環境影響評価において環境に影響を及ぼす要因と環境要素の項目および影響、調査や予測および評価の手法 両分野 計画
III 1 人工構造物によるインフラとグリーンインフラを組み合わせた防災・減災の取り組みと特徴、課題と技術的提案および提案のリスク 両分野 計画
2 環境負荷の小さな都市を実現するうえでの環境面の課題と背景、技術的提案と効果および理由、リスクと対処法 生活 計画
2017年度 II 1―1 外来種対策の考え方、主体と求められる役割 自然 計画
1―2 「豊かな海」を目指して、閉鎖性水域の環境保全に係る施策を推進する際の目標と達成のための施策 自然 計画
1―3 気候変動を考慮したインフラ整備における防災対策と減災対策の基本的な考え方と取り組み 生活 計画
1―4 土壌汚染による特定有害汚染物質の摂取経路と基準、基準に適合しない場合の区域指定 生活 計画
2―1 想定した第一種事業の環境影響評価において、影響の要因と環境要素および環境保全措置 両分野 計画
2―2 歴史的建造物を景観資源とするまちづくりにおいて、同建造物を保全・活用できる法律や制度と目的、ハード・ソフト面の対策と留意すべき点 生活 計画
III 1 生態系ネットワークの形成による効果と課題および解決策、ネットワーク形成時のリスク 両分野 計画
2 再生可能エネルギーの活用の意義と背景、事例と活用上の課題および提案、提案の効果と留意点 生活 計画
2016年度 II 1―1 富栄養化が進行するメカニズムと対策事例 両分野 計画
1―2 建設発生土のリサイクルの課題と対応策 生活 施工
1―3 建設作業による騒音または自動車交通による騒音の評価方法、発生源対策と伝搬対策 生活 計画
1―4 生物多様性に民間が取り組む背景、原材料調達と保有地管理の場面で期待される取り組み 自然 施工
2―1 山間部における第一種事業の方法書以降の環境影響評価、影響要因と項目および環境保全措置 自然 計画
2―2 低炭素まちづくりにおける「交通・都市構造」や「エネルギー」、「みどり」の分野の取り組み、定量的な評価方法と留意点 生活 計画
III 1 気候変動で想定される環境への悪影響と適応策の課題および解決策、解決策のリスクや留意点 両分野 計画
2 大規模な津波災害からの復旧・復興において自然環境に配慮する意義と事業における課題および対応策、対応策の問題点と対処法 両分野 計画
2015年度 II 1―1 生態系サービスの向上に寄与する建設事業の例と理由 自然 施工
1―2 再生可能エネルギーの導入背景と利用例および環境面における得失 生活 計画
1―3 景観法に規定されている景観重要公共施設制度の効果 生活 計画
1―4 廃棄物が地中にある土地の形質変更に関する制度の目的や概要と施工計画を立案する際の検討項目 生活 計画
2―1 外来種への対策を踏まえた建設事業において、必要な調査と対策および留意事項 自然 計画
2―2 第一種事業が工事中に環境に与える影響の調査と予測および環境保全措置、効果と検討時に留意すべき事項 自然 計画
III 1 コンパクトシティーの実現とともに取り組むべき環境への配慮と対応策、対応策の効果やリスク 生活 計画
2 建設副産物の増加が想定される中で、3Rを推進していくうえでの課題と解決策、問題点と対処法 生活 両分野
2014年度 II 1―1 生物多様性の危機と要因、建設分野との関係 自然 計画
1―2 ヒートアイランド現象の原因と緩和策 生活 計画
1―3 循環型社会形成推進基本法の背景と循環型社会の構築のための施策 生活 両分野
1―4 湖沼や閉鎖性内湾と下層溶存酸素量 自然 計画
2―1 計画段階配慮書手続きに係る調査と予測および評価、反映や活用の内容 両分野 計画
2―2 工事中に見つかった自然由来の土壌汚染への対策と選定手順および留意事項 両分野 施工
III 1 事前防災・減災を進めながら生物多様性を図るための検討事項と課題および解決策 自然 計画
2 社会資本の維持管理・更新で必要な自然環境や生活環境への配慮と課題および解決策、解決策の効果とリスク 両分野 施工
2013年度 II 1―1 順応的管理の考え方とプロセスおよび留意点 自然 計画
1―2 環境影響評価法の改正の背景と内容 両分野 計画
1―3 建設リサイクルの課題と解決策 生活 施工
1―4 生態系ネットワークの考え方とネットワーク形成の具体策および留意点 自然 計画
2―1 工事が希少種に及ぼす影響と予測手法、環境保全措置と検討時の留意点 自然 施工
2―2 工事が生活環境に与える影響と要因および影響を受ける環境要素と理由、調査や予測の手順と環境保全措置 生活 施工
III 1 低炭素都市づくりを実現するための方策と課題および解決策、解決策の留意点やリスク 生活 計画
2 閉鎖性海域の環境改善を図るうえでの目標と対策および課題、解決策と実施時の問題点 自然 計画
* 分野の欄の「自然」は「自然環境」、「生活」は「生活環境」

 建設環境は例年、生活環境と自然環境の両分野に配慮して出題されていますが、18年度は生活環境にやや偏っており、生活環境を専門とする受験者が答えやすい内容が中心でした。IIやIIIの出題範囲を確認しておいてください。

 一方、計画分野からの出題が多い傾向は変わっていませんので、改正後もこの分野の勉強は外せません。例えば、14~17年度に続いて18年度も出題された環境影響評価に関連するテーマです。19年度も出題される可能性があることから、過去の出題内容を基に第一種事業の建設事業をいくつか想定し、環境に与える影響や項目、調査や予測、評価の手法、保全対策を生態系などの配慮事項も交えて整理しておくとよいでしょう。時流を踏まえた出題も増えてきたことから、国土交通白書や国土交通省のウェブサイトを中心に最新の情報を収集する必要があります。これは計画だけでなく、施工の分野も同様です。

 さらに、生物多様性に関連する問題も頻出しています。18年度もIII―1はグリーンインフラがテーマでした。18年度はIII―2で、「環境負荷の小さな都市の実現」について問われています。低炭素まちづくりとして以前にも出題されたことがあり、19年度も押さえておくべきテーマの一つです。建設リサイクルや廃棄物もよく取り上げられています。これらは環境影響評価とともに今後、ますます重視すべきテーマと言えます。

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