(1)過去6年間の出題傾向

 トンネルには大きく分けると山岳、シールド、開削の三つの分野があります。下の表は2013年度から18年度までの出題概要です。II―1は4問から2問を、II―2とIIIは2問からそれぞれ1問を選択する形でした。

問題番号 出題概要 分野
2018年度 II 1―1 山岳トンネルのロックボルトの性能と効果 山岳
1―2 山岳トンネルのインバートの性能と必要な条件および設置時期 山岳
1―3 都市トンネルのルート選定における地中の支障物件の調査内容と手段および留意点 全分野
1―4 都市トンネルの耐震安全性に影響を及ぼす地盤または構造条件の特徴と対応策、液状化に伴って安定性に影響する事象 全分野
2―1 土かぶり20mの道路トンネルの設計・施工上の留意点と掘削時の対応、覆工の設計で考慮する点 山岳
2―2 近接構造物への影響を判定する設計の手順と対策工法および施工時の計測管理 シールド、開削
III 1 自然災害や人口減少、国際競争の課題と解決策、メンテナンスの問題点と解決策、メンテナンスサイクルの課題と解決策および効果 全分野
2 騒音・振動や汚濁水、交通障害、有害ガス、生態系の調査事項と留意点および要因と解決策、発生土の転用やリサイクルが難しい事象と措置 全分野
2017年度 II 1―1 掘削工法の適用条件と長所および短所 山岳
1―2 覆工のひび割れ低減策を分類して説明 山岳
1―3 海岸線に近い軟弱地盤に建設する小土かぶりのトンネルの性能照査における留意点と対応策 開削
1―4 小土かぶりの掘進における地盤変位の予測と計測管理、沈下や隆起の原因と対策 シールド
2―1 断層破砕帯と地すべり区間を掘削する道路トンネルの施工上の問題点と対策 山岳
2―2 シールドトンネルとたて坑との接続工事において、補強設計時や施工計画時に考慮すべき項目 シールド、開削
III 1 低炭素社会などを築くための対応策と具体例、建設副産物対策の課題と解決策、建設発生土の利用を促すための課題と解決策および留意点 全分野
2 担い手の確保と育成のための課題、トンネル分野で生産性の向上を実現するうえでの対応策と効果および留意点 全分野
2016年度 II 1―1 計画段階で検討すべき周辺環境への影響と対策 山岳
1―2 ずりの運搬方式と特徴 山岳
1―3 軟弱な不透水性の粘土層に築く大深度土留め壁の変形を抑制する設計・施工上の対策 開削
1―4 大深度に鋼製セグメントを用いた急曲線施工を計画する際のシールド機とセグメントの検討項目、施工時の留意点と対応策 シールド
2―1 古い水路トンネルの直下に近接して道路トンネルを建設する際の計画時の調査項目と検討項目、施工時の観察・計測項目と施工管理の方法 山岳
2―2 シールドの発進たて坑または開削トンネルの工事において出水事故を防ぐための計画および施工上の留意点、出水ルートを踏まえた防止策 シールド、開削
III 1 地下構造物の防災や減災で検討すべき課題と解決策、解決策の効果と留意点 全分野
2 昨今の「品質確保上の不具合」を踏まえ、品質を確保するために調査や設計、施工の段階で検討すべき課題と解決策、解決策の効果と留意点 全分野
2015年度 II 1―1 鋼製支保工の効果 山岳
1―2 周辺構造物に近接するトンネルを設計する際に留意すべき影響と対策 山岳
1―3 盤ぶくれの現象と原因、防止策と留意点 開削
1―4 土圧式および泥水式の切り羽の安定機構と施工上の留意点 シールド
2―1 土かぶりが小さいトンネル掘削における対策で、施工前に必要な調査と施工時の計測を図示 山岳
2―2 都市部のトンネル工事における環境保全対策、建設副産物の利用方法と留意点 シールド、開削
III 1 トンネルの長寿命化のための課題と解決策、解決策の効果と留意点 全分野
2 建設業界の労働力不足の背景と課題および解決策、解決策の効果と想定されるリスク 全分野
2014年度 II 1―1 坑口部で予想される問題点と設計上の留意点 山岳
1―2 排水型トンネルのシート防水の施工上の留意点 山岳
1―3 トンネル本体の設計で考慮する荷重と縦断方向の構造解析 開削
1―4 セグメント横断方向の断面力を計算する方法の特徴、縦断方向の断面力を計算する場合 シールド
2―1 地下水位が高い道路トンネルの掘削における現象と施工前に追加する調査項目、対策と留意点 山岳
2―2 発進たて坑の決定時の留意点、シールド発進方法の概要と留意点、ピッチングとローリングの対策 シールド
III 1 建設分野全体およびトンネル分野における技術継承の課題と方策、方策の効果と問題点 全分野
2 トンネル工事に伴う労働災害などの防止策の留意点、事故の要因や課題および今後の対応 全分野
2013年度 II 1―1 切り羽の観察項目と評価区分 山岳
1―2 インバートコンクリートの施工上の留意点 山岳
1―3 裏込め注入材に必要な性質と施工管理の方法および留意点 シールド
1―4 耐震設計の手順と内容 開削
2―1 覆工コンクリートの配合や材料の品質管理、打ち込みと養生における課題と解決策 山岳
2―2 近接施工における工事計画や計測管理計画の留意点、予測値を超えた場合の原因と対策 シールド、開削
III 1 社会資本全般およびトンネルにおける老朽化の課題と開発すべき維持管理技術 全分野
2 工程管理の検討項目と着工後に直面した課題および解決策、解決策の効果とリスク 全分野

 専門知識と応用能力を問うIIの論文では、18年度まで出題全体の約半分を山岳トンネルの分野が占めていました。シールドトンネルと開削トンネルの分野は出題数が少なく、19年度も自身の専門とは異なる別の分野の対策が必要です。改正によって、18年度より出題数が減少する可能性もあります。

 さらに、18年度のII―2は16年度や17年度と同様に、施工に関する知識や応用能力が欠かせない内容でした。中でも、「近接施工」は頻出しています。18年度のII―2は、1問が浅い土かぶり区間における山岳トンネルの施工が、もう1問は開削またはシールドトンネルの近接施工がそれぞれテーマでした。19年度の試験でも、近接施工は重要なテーマです。応用能力を確かめる際の条件の一つとして、示される可能性が高いと思われます。

 一方、課題解決能力を問うIIIの論文は、いずれも上記の三つの分野を対象とした問題が続いており、受験者が専門とするトンネルの分野について記述できるよう配慮されています。さらに、時流を踏まえて幅広いテーマが取り上げられる傾向も見られます。17年度は担い手の確保・育成や生産性の向上について問われたほか、18年度はインフラの老朽化やメンテナンスサイクルなどについて出題されました。(3)IIIの論文の出題予測と解答のポイントで後述するように、19年度は「問題解決能力および課題遂行能力」が対象になりますが、出題傾向に大きな変化はないと思われます。道路をはじめ、他の科目の出題テーマにも目を通し、建設事業に関連する最近の話題を把握しておくことが大切です。

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