(1)過去6年間の出題傾向

 鉄道には大きく分けると計画、設計、施工、維持管理の四つの分野があります。以下は、2013年度から18年度までの6年間の出題概要です。II―1は4問から2問を、II―2とIIIは2問からそれぞれ1問を選択する形でした。

問題番号 出題概要 分野
2018年度 II 1―1 可動式ホーム柵の技術的な検討事項 計画
1―2 鉄道営業線に近接して橋脚の基礎杭を施工する際の工法選定時の留意点と施工中の計測管理 施工
1―3 盛り土や抗土圧構造物で耐震対策の工法を選定する際の留意点、対策工法の長所と短所 設計
1―4 ロングレール化のための溶接方法の概要と長所および短所、適した溶接の段階と理由 計画
2―1 トンネルにおけるコンクリート片などの剥落機構と要因、対策工の選定時の考慮事項と断面欠損箇所の対策例および記録の保存と活用 計画、維持管理
2―2 在来線の上空に跨線道路橋の鋼桁を架設する際に用いる工法の特徴と選定条件、架設計画時の検討事項と留意点および工事保安上の留意事項 施工
III 1 交通結節点である駅や駅周辺の施設面の課題と解決策および留意点、まちづくりと連携して整備するうえでの課題と解決策 計画
2 維持管理が困難になりつつある背景と維持管理の中長期計画の立案にあたっての留意点、計画を実行する際の課題と解決策および効果とリスク 維持管理
2017年度 II 1―1 転落防止のためのプラットホームの安全対策 計画
1―2 ラーメン高架橋の柱と梁の接合部におけるコンクリートの品質管理と留意点 施工
1―3 連続立体交差事業の整備効果と課題および対策 計画
1―4 レール傷の管理上の留意点とレール削正の考え方 維持管理
2―1 仮土留めを用いた大規模掘削における近接施工時の変状の原因、防止策と留意事項 施工
2―2 維持管理において検査の効率化が求められる背景、効率的な検査技術と留意事項 維持管理
III 1 降雨による被害を防ぐためのハード対策と課題、ソフト対策の必要性と取り組み、降雨対策のあり方 計画
2 地震防災・減災で考慮すべき項目、課題と解決策、解決策の効果と留意点 計画
2016年度 II 1―1 踏切事故の現状と課題および防止策 計画
1―2 高架橋で地震時に想定される損傷と耐震対策 設計
1―3 列車走行に伴う騒音の発生原因と対策 計画
1―4 ロングレールの座屈を防ぐ管理の要件と留意点 維持管理
2―1 大都市圏における相互直通運転の効果と設備面の検討事項および留意点 計画
2―2 鉄道の速度向上にあたり、地上設備に関する検討項目と対応策および留意点 設計
III 1 鉄道駅の機能や役割、駅を改良するうえでの課題と解決策、解決策の留意点 計画
2 営業線に近接した工事や保守で発生する事故や輸送障害の要因と防止策、対策時の留意点 計画、施工
2015年度 II 1―1 ホームドアの課題と技術開発を踏まえた対応法 計画
1―2 耐震設計時の設計地震動と要求性能および性能照査の方法 設計
1―3 法面補強の留意点、補強工の長所と短所 計画
1―4 乗り上がり脱線のメカニズムと防止策 設計
2―1 営業線直下に築くボックスカルバートの施工方法と選定時に考慮すべき事項、営業線への影響 計画、施工
2―2 高架橋におけるコンクリート片の剥落原因、対策上の制約と対策方法 設計、維持管理
III 1 鉄道分野における防災・減災対策、実施上の課題と解決策、解決策の効果と留意点 計画
2 保守や維持管理を行ううえでの課題と解決策、解決策の効果と留意点 維持管理
2014年度 II 1―1 既存の駅の橋上化において、バリアフリーの基準への適合が求められる設備と内容 設計
1―2 鉄道構造物等設計標準が性能照査型に移行した背景と利点および要求性能 設計
1―3 鉄道構造物等維持管理標準の構造物編または軌道編の検査区分と概要、維持管理の手順 設計、維持管理
1―4 定尺レールと比べたロングレールの優位点と管理する際の留意点 設計、維持管理
2―1 高架下が高密度に利用されているラーメン高架橋における耐震補強工事の計画・設計時の制約条件と留意点および補強工法 計画、設計
2―2 家屋が密集した都市部で行う連続立体交差化の効果と検討事項、構造形式や計画案、留意事項 計画
III 1 大規模災害への防災・減災の考え方、課題と解決策、解決策の効果とリスクおよび具体策 計画
2 鉄道施設の長寿命化にあたっての課題と対応策および留意事項 設計、維持管理
2013年度 II 1―1 新幹線と在来線との乗り継ぎの課題と改善策、効果と最近の情勢および課題 計画
1―2 鉄道構造物等設計標準の位置付けと設計法の特徴 設計
1―3 建築限界の考え方、車両限界との関係と拡幅に関する留意点 設計
1―4 緩和曲線の役割と長さの決め方 設計
2―1 在来線の大規模改良後に予測される騒音の発生源と設計時の対策および留意事項 計画、設計
2―2 近接した掘削工事を進めるうえでの考え方、着工前の検討事項と施工管理の留意点 計画、施工
III 1 老朽化対策での留意点、安全な輸送確保のための検討事項と課題およびコストも含めた解決策 計画、維持管理
2 大規模ターミナル駅の橋上化と駅ビルの新設を行う複合プロジェクトの検討事項と課題および対応策 計画

 鉄道では18年度まで、全体の半分程度を計画分野からの出題が占めており、改正後の19年度もこの分野の勉強は欠かせません。最近は維持管理に関する設問も増える傾向にあります。例えば18年度は、II―2―1でトンネルにおけるコンクリート片やモルタル片の剥落について問われたほか、III―2では維持管理の中長期計画の立案に関して出題されています。

 一方、施工の分野からは近接施工がよく取り上げられています。18年度も、II―1―2では鉄道営業線に近接した橋脚の基礎杭の施工について問われました。II―2―2で出題された跨線橋の鋼桁架設も、営業線(在来線)の上空での施工といった条件が設けられています。ただし、IIIも含めた全体では出題数が少ないので、施工を専門とする受験者は計画や設計など別の分野への対応も必要です。例えば設計分野のテーマを勉強するには、国土交通省のウェブサイトに掲載された審議会などの情報を収集しておきましょう。時事的なテーマの動向を理解するのに役立つはずです。

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