(1)過去6年間の出題傾向

 2013~18年度の都市計画の出題内容をテーマごとに類型化すると、都市の「景観」、「交通」、「環境」、「防災・減災」、「都市運営」、中心市街地などの「市街地整備」、都市全体を対象とした「都市の再構築」の七つになります。2問から1問をそれぞれ選択するII―2やIIIでは一つの問題に複数のテーマが含まれることもあります。下表は13~18年度の出題概要です。

 19年度に試験内容が改正されるため、出題形式は18年度までと異なる可能性が高く、IIでは出題数が減少するかもしれませんが、我が国の都市計画における課題や環境に変化はありませんので、出題傾向が大きく変わることはないでしょう。したがって、学習の方法や方針も大きく変更する必要はありません。

 IIは都市計画の様々な側面に関する設問であり、市街地整備と交通、環境の領域から主に出題されています。中でもII―1では、それぞれの領域における個別の法制度についての出題が目立ちます。例えば18年度のII―1―1では、区域区分制度そのものの説明が求められました。ただし、区域区分制度が、都市への人口集中と市街地の拡大が顕著になった時期に、秩序ある市街地整備を行うために定められた制度であることを考えると、人口減少に伴う市街地のあり方が問われる今日の都市計画の課題と同軸上にあることがわかります。

 つまり、単に幅広い専門知識を確認しようとするのではなく、今日の都市が抱える問題や課題と関連して問われていると考えることができます。その意味では、景観や環境に関する出題も、景色を美しくするという修景的な視点だけではなく、低炭素化など昨今の都市の課題を踏まえて出題されていると捉えるべきであり、この傾向は19年度の試験でも変わらないはずです。

 IIIは、都市計画全体の最近の課題や普遍的な課題に関する出題です。地理的な条件から台風や集中豪雨、地震による災害を免れ得ない我が国において、防災・減災は都市計画の前提ともいえる普遍的な課題であり、13年度以降、頻出しています。さらに、都市の低炭素化も地球温暖化に対する地球規模での取り組みの一環であり、時代を超えた普遍性をもつテーマといえます。

 一方、最近の課題といえば、人口減少や少子高齢化に伴う都市構造の変化への対応であり、やはり13年度以降、頻繁に問われています。18年度も、都市のスポンジ化と復興まちづくりの計画がテーマでした。都市の再構築と防災・減災の分野からの出題です。最近の課題とはいえ、都市計画の場合は数十年単位での取り組みになります。対応が急がれている課題であるため、国の政策や施策、法制度を織り込んだ出題が目立ちます。

問題番号 出題概要 分野
2018年度 II 1―1 市街化区域と市街化調整区域の説明、区域区分制度の目的と効果 市街地整備
1―2 都市交通の施策(LRT、コミュニティーサイクル、トランジットモール)の概要 交通
1―3 景観の形成に関する手法や制度の概要 景観
1―4 都市緑地法に基づく緑化制度の概要 環境
2―1 土地・建物一体型の市街地整備手法の効果と特徴、手順と留意すべき事項 市街地整備
2―2 人口減少と少子高齢化が進む都市における緑とオープンスペースに関する課題、計画の見直しの手順と留意すべき事項 環境
III 1 「スポンジ化」が進む都市における立地適正化計画の取り組みと考慮すべき事項および対応策 都市の再構築
2 人口減少と少子高齢化が進む地方都市における大規模な市街地火災の復興まちづくり計画の課題と方策、方策を実施する際の負の側面と対応策 防災・減災
都市の再構築
2017年度 II 1―1 都市計画における住民参加の背景とメリット、制度の概要 都市運営
1―2 都市再生特別措置法における道路占用許可基準の緩和の効果と留意事項 都市の再構築
1―3 建築物の規制・誘導などの制度の概要 市街地整備
1―4 官民連携に資する手法の概要と都市公園に適用した場合の公園管理者のメリット 都市運営
2―1 高度経済成長期に大都市圏近郊で開発された大規模な住宅団地の再生の課題と解決策、実効性を高めるための工夫や留意事項 都市の再構築
2―2 密集市街地における防災上の課題と計画の手順、実効性を高めるための工夫や留意事項 防災・減災
III 1 人口減少と高齢化が進む地方都市で立地適正化計画を策定する際の課題と目指すべき都市像、計画で定める目標と方策、負の側面と対応策 都市の再構築
2 三大都市圏における市街化区域内で農地の保全と活用が求められる背景と効果、方策と負の側面および対応策 都市の再構築、
都市運営
2016年度 II 1―1 都市再生特別措置法に基づくエリアマネジメントの推進に資する制度 都市運営
1―2 中心市街地における駐車場整備の考え方と適用される法制度 市街地整備
1―3 市街地再開発事業において民間の参画を促す制度と活用のメリット 市街地整備
1―4 地震時の各段階と平常時において都市公園が果たす役割 防災・減災
2―1 歴史的街並みを有する地方都市における景観計画の意義と手順および留意事項 景観、都市運営
2―2 地方都市圏の中核都市における鉄道新駅の建設と市街地整備の意義、計画の手順と留意事項 交通、
市街地整備
III 1 健康寿命の延伸が課題の地方都市において、立地適正化計画によるコンパクト化の意義と検討項目、関係部署との連携と居住誘導区域内の居住者への考慮事項および対応策 都市の再構築
2 人口減少が進む地方都市における空き家の課題と方策、方策の負の側面と対応策 都市の再構築
2015年度 II 1―1 都市計画法に基づく都市計画の提案制度と地区計画 都市運営
1―2 良好な景観の形成に資する建築物の規制・誘導の制度 景観
1―3 都市交通の手法(デマンド交通、BRT、TDM)の導入目的 交通
1―4 都市の公園緑地や緑化に期待される役割と低炭素化に資する理由 環境
2―1 都心部の再整備における大街区化の効果と手順、公共施設の再編にあたっての留意点 市街地整備
2―2 大都市近郊の市街地において、防災を意識した都市づくりの計画と手順、実効性を高めるための工夫や留意事項 防災・減災
III 1 人口減少・高齢化の著しい地方都市における施設整備または市街地整備の見直しの背景と方策、負の側面と対応策 都市の再構築
2 都市再生特別措置法に基づく立地適正化計画の策定において、居住誘導区域を設定する際の検討事項と居住誘導の方策、居住誘導区域外の地区で考慮すべき事項と方策 都市の再構築
2014年度 II 1―1 エリアマネジメントの効果 都市運営
1―2 建築物を規制・誘導する方法や制度の概要 法制度
1―3 集約拠点がある駅周辺での自転車利用 交通
1―4 都市緑地法に定められた制度の概要 法制度、緑地
2―1 「歴史まちづくり」計画を策定するための検討事項と背景、手順、工夫や留意事項 歴史まちづくり
2―2 地方都市の市街地整備の方針策定における検討事項と手順、工夫や留意事項 集約拠点
III 1 人口減少と少子高齢化が顕在化しつつある地方都市の再構築にあたり、都市経営の課題と解決策、解決策に伴う負の側面と対応 都市の再構築
2 津波で被災した市町村の復興まちづくりにおいて実施すべき事業と意義、早期復興の課題と事業の進め方、事業推進上のリスクと対応 防災・減災
2013年度 II 1―1 景観形成に資する制度のうち、法律に基づく計画や規制・誘導措置、支援措置の特徴 法制度
1―2 密集市街地を改善する際の課題と解決策、公的賃貸住宅の役割 市街地整備
1―3 都心部の鉄道駅に隣接する拠点的な複合開発に関して交通計画を立案する際の方策 交通
1―4 都市の緑化を推進するにあたり、生物多様性を確保するうえで留意すべき事項 緑地
2―1 都市計画の変更を検証する場合に対象とする計画と背景、検証の手順と留意点 都市計画
2―2 中心市街地活性化のための課題と解決策、検討事項と留意点 市街地整備
III 1 津波に強い都市とするための課題と解決策、解決策を実施する際の問題点と対応 防災・減災
2 低炭素まちづくりの計画で目指すべき将来の都市像と実現するための方策、方策によって生じる負の影響と対処法 都市の再構築

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