(1)過去6年間の出題傾向

 土質基礎は業態によって調査、設計、施工の分野に大別できます。下の表は、2013年度から18年度までの6年間の出題概要です。II―1は4問から2問を、II―2とIIIは2問からそれぞれ1問を選択する形でした。

 土質基礎では18年度まで、全体の半分以上を調査や設計の分野が占めており、改正後の19年度もこれらの分野の勉強は外せません。IIの問題は範囲が広く、テーマも多岐にわたりますので、自分の専門以外の分野についても対応する必要があります。主に応用能力が求められるII―2では、施工の分野も含まれていました。例えば、18年度のII―2―1は軟弱地盤上に築く盛り土の施工中の計測管理が、II―2―2は市街地における開削トンネルの大規模な土留めがそれぞれテーマでした。様々な要素が盛り込まれた図を読み取る設問が定着し、詳細な内容について問われるなど、設定される条件は難しくなる傾向にあります。実務経験を踏まえた解答が求められており、自身が専門とする範囲を深く勉強することも欠かせません。

 さらに18年度は、II―1で地すべりについて出題されましたが、これは近年の土砂崩壊による災害を意識した設問です。本来なら河川砂防の科目で出題される内容ですが、土質基礎の基礎的な知識と関わっており、土構造物の安定の問題に絡めて問われています。II―2は2問とも普遍的なテーマでした。一方、17年度は逆にII―1はすべて普遍的なテーマで、II―2のうちの1問は切り土法面の豪雨後の対策に関する時事性の高い問題が出題されています。

 IIIの問題は17年度に続いて18年度も、2問とも時事的なテーマでした。18年は九州の北部や広島県、岡山県、北海道など各地で豪雨や地震による激甚災害が多発しており、19年度の試験でも防災・減災は重要な分野です。さらに、働き方改革に加え、労働者不足を解消するために外国人の雇用に関する法制度が見直されるなど、普遍的なテーマとともに時事的な出来事についても土質基礎との関連性を意識して勉強することが肝要です。

問題番号 出題概要 分野
2018年度 II 1―1 良質な地盤と軟弱地盤との互層における直接基礎の支持力の検討方法と設計上の留意点 調査、
設計
1―2 基礎の設計における地盤の変形係数の利用目的と調査・試験方法および利用上の留意点 調査、設計
1―3 杭基礎に負の摩擦力が発生する原理と影響および検討する際の留意点 施工
1―4 地すべりの発生形態を分類する際の基本的な考え方と使用法および形態の特徴 設計
2―1 地下水位が高い軟弱地盤上の盛り土の計画で必要な物性値と検討方法、併用する対策工法の原理と効果および施工中の調査や計測管理の方法 調査、設計、施工
2―2 市街地の軟弱粘土層に築く大規模な開削トンネルに適用できる土留め壁の特徴、掘削底面の安定や周辺構造物への対策と留意点 設計、施工
III 1 地盤構造物の調査や設計、施工、維持管理の各段階における品質確保に関わる課題とICTやセンシング技術を活用した解決策および留意点 調査、設計、施工
2* 激甚災害をもたらす豪雨または地震と老朽化の特徴、それらを踏まえて社会資本を管理・整備するうえでの課題と対応策および技術開発 調査、設計、施工
2017年度 II 1―1 ダルシーの法則と適用上の留意点、原位置と室内で実施する飽和透水係数の試験の留意点 調査、設計
1―2 液状化の発生メカニズム、標準貫入試験と室内の土質試験で簡易に判定する方法 調査、設計
1―3 土留め掘削における盤ぶくれの発生メカニズムと防止策、適用における留意点 施工
1―4 静止土圧と主働土圧、受働土圧の概要、各土圧を用いて設計する構造物の種類 設計
2―1 杭基礎の新設道路橋の橋台および周辺地盤に生じる変状と照査方法、調査と試験の方法、対策工法の概要と設計・施工上の得失 調査、設計、施工
2―2 幹線道路に面する切り土法面で豪雨の後に見つかった変状への緊急対策と留意点、崩壊形態と要因、恒久対策に必要な調査と得られる情報 調査、設計、施工
III 1 地盤構造物の健全性の確保や維持管理・更新の効率化につながる生産性の向上を図るうえで、各建設段階における課題と対応策、効果や留意点 調査、設計、施工
2 地盤に関する防災・減災において、災害誘因と自然素因、社会素因の視点から検討すべき課題と対応策、留意点と取り組むべき技術開発 調査、設計、施工
2016年度 II 1―1 地盤の圧密現象、正規圧密粘土の沈下量や沈下時間の予測に必要な要素と結果に与える影響 調査、設計
1―2 水平方向地盤反力係数の定義と利用にあたっての留意点、試験による推定方法 調査、設計
1―3 盛り土の締め固めの目的と施工管理の方法および留意点 施工
1―4 杭基礎の周面摩擦力の算出方法と極限支持力を求める場合の留意事項 設計
2―1 鉄道高架橋や道路、住宅街などに近接して開削トンネルの土留めを掘削する際の設計・施工の検討項目と対応策および留意点 設計、施工
2―2 軟弱地盤上に道路機能を有する堤防をかさ上げする際の地震時の被災形態と耐震性の照査、対策工の原理と設計・施工上の留意点 調査、設計、施工
III 1 地盤内構造物の調査・設計・施工の各段階における不具合の原因と課題、品質確保のための対応策と対策時の問題点や留意点 調査、設計、施工
2 地盤構造物の調査や設計、施工、維持管理の段階におけるICTの活用方法と課題、解決策と実施時の留意点 調査、設計、施工
2015年度 II 1―1 CU試験とCD試験の概要と得られる土の強度定数、安定性検討時の留意点 調査、設計
1―2 重力式擁壁の安定性照査で必要な項目と地盤の物性値 調査、設計
1―3 新設構造物の液状化対策の原理と対策時の留意点 設計、施工
1―4 土留め掘削におけるボイリングの発生原理と安定性の評価方法および防止策 設計、施工
2―1 平面規模150m×100m、地上14階の構造物における杭基礎の計画時の留意点、必要な地盤情報と対応策および留意点 調査、設計
2―2 泥岩上に切り土や盛り土で築く道路の計画における設計・施工上の留意点、隣接工区での変状の原因と予防策の留意点 調査、設計、施工
III 1 維持管理・更新にあたり、鋼・コンクリート構造物と比較したときの地盤構造物特有の課題、技術開発の方向性を含めた対応策と留意点 調査、設計、施工
2 甚大な地盤災害の具体例と要因(誘因と素因)、災害を軽減・抑制するための対応策と課題および留意点 調査、設計、施工
2014年度 II 1―1 標準貫入試験や電気式コーン貫入試験、簡易動的コーン貫入試験、スウェーデン式サウンディング試験の概要と地盤情報および留意点 調査
1―2 抗土圧構造物に作用する主働土圧や受働土圧、静止土圧の定義と設計における利用方法 設計
1―3 中間層における杭基礎支持の設計で確認すべき事項、調査・試験項目 調査、設計
1―4 地すべり災害の素因と誘因、抑制工と抑止工の概要や留意点 設計、施工
2―1 線状構造物の掘削工事における掘削底面の安定で考慮すべき現象、対策案に関する留意事項と調査および周辺への対策 調査、設計、施工
2―2 軟弱地盤上のマンションに隣接した道路盛り土の計画・設計上の検討項目や地盤物性値、調査・試験方法と対策 調査、設計
III 1 鋼・コンクリート構造物と比べた地盤構造物の品質管理について調査や設計、施工の課題と改善策、改善策の効果と留意点 調査、設計、施工
2 経験に基づく工学的判断が求められる局面と理由、工学的判断に期待する技術体系が通用しなくなる要因と影響および解決策、効果と実行上の課題 調査、設計、施工
2013年度 II 1―1 液状化判定時のFL(R/L)におけるRとLの意味や求め方 調査、設計
1―2 Terzaghi(テルツァーギ)の支持力係数や直接基礎の支持力算定で考慮する点 設計
1―3 N値から求められる地盤定数の推定方法と留意点 設計
1―4 山留め掘削時の地盤変状と起こりやすい条件 施工
2―1 粘性土地盤上に築く盛り土の照査項目や留意事項、盛り土端部の擁壁基礎の評価方法、短工期での対策工法 調査、設計
2―2 集中豪雨によって生じた道路の切り土法面の変状に対し、災害発生から本復旧までに実施すべき事項や留意点 調査、設計、施工
III 1 地盤構造物に共通する特性と地震対策の課題、地盤工学と社会制度の両面から捉えた解決策 調査、設計、施工
2 地盤構造物の経年変化による機能低下の特徴、鋼・コンクリート構造物と比べた維持管理の留意点、財政制約の中での維持管理のあり方 調査、設計、施工
* 2018年度のIII―2の問題はこちらに出題文と論文構成例を掲載

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