スマートフォン(スマホ)の心臓部のプロセッサーを押さえた中国メーカー。2015年以降、世界最先端のスマホ用プロセッサーを製品化し、供給し続けているのが、中国の半導体設計会社「ハイシリコン・テクノロジー」だ。親会社の華為技術(ファーウェイ)にスマホ用プロセッサー「Kirin」を供給している。

 世界中のスマホ用プロセッサーのベースになっているのが、英アーム(Arm)のCPUコアである。スマホ用プロセッサーのメーカーはアームとライセンスを結び、アームのCPUコアを使用している。しかし、ハイシリコンはアームのCPUコアをそのまま使っているわけではない。性能をより良くするために、自前で開発環境を用意して、自分たちで改造している。そうした技術力を、中国メーカーは既に身に付けているのだ。

独自性を発揮できる技術力を備える

 2015年に大ヒットしたファーウェイのスマホ「P8」。そこに搭載されたハイシリコンのプロセッサー「Kirin 935」は、アームのCPUコアを改造した回路が載っている。

 ハイシリコンは、アームが供給しているCPUコア「A53」を改造し、自分たちで性能を増強させた。改造したCPUコアの名称には、「e(enhance)」を付けて、「A53e」としている。「この頃から、ハイシリコンの技術力が、いよいよアームを超えるようになってきた」と、半導体技術に詳しい元ルネサス エレクトロニクス主管技師長の清水洋治氏(現在は、テカナリエ 代表取締役 CEO)は振り返る。

 さらにハイシリコンは、このKirin 935の1チップに、「SD 3.0」や「USB 2.0」、フルHDのビデオエンコード、LTEのCat.6、300Mbpsのような超高速データ通信が可能なモデム機能を全部載せた。これらはいずれも、ハイシリコンが独自に開発したものだという。独自性を発揮するための技術力をハイシリコンは当時から備えていたと、清水氏は解説する。

 さらに清水氏はKirin 935について、「同時期に同様のスペックを実現していた、台湾メーカー(メディアテック)、韓国メーカー(サムスン電子)のプロセッサーと比べても遜色なかった」と評価する。その理由の1つとして、周波数を挙げる。ハイシリコンのプロセッサーは最も高い2GHzを達成していたという。また、チップ面積も他社製品に負けず劣らずコンパクトであり、競合に比べて全く引けを取らない製品だったとする。

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