アウトドアウエアの専門店「WORKMAN Plus」が話題のワークマン。好調な業績を支える原動力は全社を挙げたデータ経営にある。

 さまざまなデータを活用し、社内業務を効率化している。本部から仕入れ先への発注も、店舗から本部への発注も、独自のアルゴリズムを組み込んだシステムを使ってほぼ自動化している。発注量を決めるアルゴリズムは、数人のデータ分析チームが作成した。

 ワークマンは社員のデータ分析力をどうやって高めているのか。その背景には徹底したIT教育とデータ分析を業務に活用する社風づくりがあった。

 「当社に突出したデータサイエンティストは必要ない。その代わり、全社員に最低限のデータ分析力を身に付けてもらう。だから底上げするための人事制度や研修を数多く用意している」。ワークマンのIT戦略を統括する土屋哲雄常務はこう語る。

ワークマンの土屋哲雄常務。左はPB(プライベートブランド)商品を着せたマネキン

 人事制度として象徴的なのは、部長への昇進条件。「データ分析力」を必須としている。データ分析のスキルがなければ、組織を率いる資格がないというわけだ。

 そのため研修は充実している。特に、最も人数が多いスーパーバイザー(SV)向けのデータ分析教育を豊富に取りそろえている。

 SVは自分が担当する複数のフランチャイズチェーン(FC)店に対し、経営のコンサルティングをする役割を担う。店舗から本部への発注量はシステムで自動的に算出しているが、店頭の品ぞろえや陳列は店舗ごとに決めている。現在は、SVがさまざまなデータを用いてFC店の店長にアドバイスしている。

 では、FC店長に適切な助言ができるSVをどうやって育てるのか。ワークマンがSV向けに用意している研修は大きく分けて、強制参加と任意参加の2種類ある。

 強制参加の研修は、主に入社2~4年目の若手を対象にしたもの。例えば、入社2年目の社員全員に、ワークマンが使っているデータコム製のデータ分析システム「d3」の使い方を教えている。それが「d3定型分析講習」だ。こうした若手向けの講習は、社内の「教育部」の社員が講師になって実施している。

入社4年目までの若手社員向けのデータ分析研修(強制参加)
(ワークマンの資料を基に日経 xTECHが作成)
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 入社3年目になると見習い期間中のSVである「トレーニーSV」になる。するとより実践的なd3の使い方を学ぶ「d3汎用分析講習」や、Excelを使った分析を学ぶ「Excel分析講習」が用意されている。そして晴れてSVに昇格したら「d3演習講習」を受ける。

 一方、入社5年目以降の社員には、任意参加の研修を用意している。「SV部」に所属する2年未満の社員は「スキルアップ講習」、マネージャー以上には「幹部スキルアップ講習」「分析セミナー」、エリア長以上には「データサイエンス検討会」といった研修を開催している。任意参加の講習は、データ分析チームが手掛けている。

入社5年目以降の社員向けに開催しているデータ分析研修(任意参加)
(出所:ワークマンの資料を基に日経 xTECHが作成)
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