作業服の販売で圧倒的なシェアを誇るワークマン。そんな同社が新業態のアウトドアウエア専門店「WORKMAN Plus」を開店すると、たちまち人気となった。

 ワークマンの経営指標で注目すべきは、新業態を含めた店舗運営の効率性の高さにある。2019年3月期(予想)の業績予想では、同社の社員一人当たりの営業利益は4929万円。何と社員一人で約5000万円ももうけている。国内の流通業では屈指の利益率を達成している。

 効率経営の一例は、WORKMAN Plusの第1号店である「ららぽーと立川立飛店」でも見て取れる。

WORKMAN Plusの第1号店である「ららぽーと立川立飛店」
(出所:ワークマン)
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 全国に約840店を展開するワークマンの店舗は、ほとんどがフランチャイズチェーン(FC)店だ。しかし、WORKMAN Plusの1号店であるららぽーと立川立飛店は、数少ない直営店。ただし直営でありながら、立川立飛店にはワークマンの社員が常駐していない。現場のオペレーションは、販売業務を委託しているスタッフに任せている。委託したのはアパレルの専門業者だ。

 「社員を置かないことで人件費を抑えつつ、当社に足りないアパレル業界の知識や販売ノウハウを外部の専門スタッフで補った。パンツの畳み方一つとっても、作業服とカジュアルウエアでは全くやり方が違う」。WORKMAN Plusを立ち上げた土屋哲雄常務はこう話す。

ワークマンの土屋哲雄常務

 一般に小売業の店員の仕事といえば、レジ打ちに品出し(商品の陳列)、接客、発注の大きく4つだ。だがワークマンの場合、扱う商品のほとんどが低価格帯なので「接客はほとんど必要ない」(土屋常務)。さらに店舗から本部への発注は、本部にいる社員が遠隔で実施する。だから店員は発注業務もしなくていい。外部委託したアパレルの専門スタッフはレジ打ちと品出しに専念してもらう。

 店舗から本部への発注業務を数店で実験したところ、「新規出店の交渉や出店準備を担当する本部社員が2人いれば、10カ所の直営店の発注業務を兼任しても大丈夫そうだと分かった」と土屋常務は明かす。

 ワークマンは2020年3月末までに、新業態のWORKMAN Plusを68店まで拡大する計画。そのうち10店が直営店になる見込みだ。この10店の毎日の発注業務を、新規出店の担当者が兼務でこなすという。

 なぜ2人だけで10店分の店舗発注を受け持てるのか。理由は、ワークマンの徹底したデータ分析にある。販売実績データを基に、自動的に最適な発注量を算出するシステムを開発している。土屋常務は「当社の店舗発注に仮説検証は必要ない」と割り切っている。システムに従えばいいわけだ。

独自の発注ロジックで最適な数量を算出

 ワークマンは、販売実績データから最適な発注量を算出する店舗発注システムを2017年に構築した。リンク製の自動発注パッケージをベースに、独自の算出ロジックを実装することで開発。これは店舗から本部に商品を発注するための仕組みであり、本部が仕入れ先に商品を発注するシステムとは別ものだ。

 このシステムでは、過去の販売実績データから算出した全商品の推奨発注量が自動的に表示される。画面上にある「一括発注」のボタンを押せば、推奨通りに発注できるようになっている。

 先行して、一括発注の機能を取り入れた店では、売り上げの伸び率が全店平均を約3ポイント上回った。これは、顧客が買いたい商品が店頭にきちんと並べられていることを意味する。システムに任せていれば、人が仮説検証しなくても結果が良くなるというのだ。

 しかも、金額ベースの在庫量は先行導入店と全店平均でほぼ同じ。つまり、過剰在庫は抱えていないことになる。システムがはじき出した推奨量に従えば、適切な発注と在庫管理ができるという。

 店舗発注システムで数量を最適化して欠品を減らし、売り上げを伸ばす。しかも発注業務の負荷はほとんどかからない。これが社員2人で10店分の発注を可能にしたからくりだ。

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