作業服専門チェーンを手掛けるワークマンの業績が好調だ。2019年3月期は売上高に当たる営業総収入が639億円で、9期連続の増収。営業利益は130億円で、4期連続の最高益更新を見込んでいる。

2014年3月期から2019年3月期(予想)における、ワークマンの業績推移
[画像のクリックで拡大表示]

 ワークマンは、スーパーのベイシアやホームセンターのカインズと同じく、ベイシアグループ傘下の企業である。全国に約840店を展開している。直営店はわずか30店ほどで、残りはフランチャイズチェーン店が占める。

 今期の好調さをけん引しているのは、アウトドアウエアやスポーツウエアなどを扱う新業態「WORKMAN Plus」である。2018年9月に1号店となる「ららぽーと立川立飛店」をオープンすると、たちまち大人気になった。日経トレンディの「2019年ヒット予測」で、フランスのスポーツ用品店デカトロン(Decathlon)と並び、全ジャンルを含めたヒット予測で1位に選ばれるなど、大きな注目を集めている。

「WORKMAN Plusららぽーと立川立飛店」のオープン初日の様子。大勢の顧客でにぎわった
(出所:ワークマン)

 「アパレル業界では、1カ月に1坪当たり20万円を売り上げれば成功といわれている。それがWORKMAN Plusは70万円と3倍以上。既存のワークマンと比べても、4倍以上の坪効率の高さがある」。WORKMAN Plusの仕掛け人であり、情報戦略を統括する土屋哲雄常務はそう語る。

 WORKMAN Plusの盛況ぶりがテレビなどで紹介され、実は同じ商品が既存のワークマンでも売られていることを知った顧客が近隣の店舗にも流れ込んだ。結果的に、全店で売り上げを伸ばしている。

 今後、ワークマンの新店舗は基本的にWORKMAN Plusになる。出店は急ピッチで進めており、2019年3月末までに12店、2020年3月末には68店まで増やす計画だ。

 なぜWORKMAN Plusはいきなり成功できたのか。秘密は同社の思い切ったデータ活用とユニークな取引形態にあった。データを駆使した業務の合理化で新業態への進出リスクを減らし、成功確率を高めた。ヒットはまぐれではない。

新業態の準備を既存のワークマンで先行実施

 WORKMAN Plusの構想が立ち上がったのは約5年前だ。2014年9月にワークマンが発表した「中期業態変革ビジョン」に、アウトドアウエアの新商品を開発して客層を広げると明記した。よくある中期経営計画ではなく、あえて「業態変革ビジョン」と銘打ったのは、作業服一辺倒のビジネスからの脱却を狙っていたためだ。

 新業態への進出を決断したのは、将来に対する強烈な危機感があったから。ワークマンは社名の通り、作業服の専門チェーンという非常にニッチな市場で、圧倒的なシェアを誇る。だがニッチ故に、店舗数を増やすことで売り上げを伸ばす戦法は早晩、通用しなくなることが目に見えていた。

 「ニッチなビジネスなので、人口10万人の商圏当たり、1店舗が限界だ。これまでのペースで出店を続けると、2024年には1000店に達し、国内ビジネスは頭打ちになることが分かっていた」。土屋常務はこう振り返る。

ワークマンの土屋哲雄常務

 作業服ビジネスの成長限界を突破するには、新業態への進出が不可欠とワークマンは判断した。そこで構想から1号店のオープンまでの約4年間、ワークマンは2つの観点から入念な準備を進めた。一つはPB(プライベートブランド)商品の開発。もう一つは需要予測システムの精度向上だ。

この先は有料会員の登録が必要です。有料会員(月額プラン)は初月無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら