リーダーがうまく褒めれば、メンバーの積極性を引き出し、チームが活気づく。だが、いざ褒めようとすると意外に難しい。3日間で、上手な褒め方をマスターしよう。

 褒めることの重要性を認識し、褒め方を理解したとしても、褒めることを習慣化するのは簡単なことではない。中堅システム会社のGさんは、「プロジェクトが忙しくなってくると余裕がなくなり、メンバーを褒めなくなってしまう」と自戒する。

 褒めることを習慣化する第一歩は、褒め忘れを防ぐことだ。保険系システム子会社に勤務するHさんは、「褒めるべきことが見つかったときにメンバーがその場にいないと、ついつい褒めるのを忘れがち」と指摘する。

 そのためにHさんは褒めるための備忘録である「褒めるメモ」を付けている。手帳のToDo(やること)リストに、褒める内容を書き込んでおき、できる限り早く褒める。これだけのことだが、「褒め逃しがなくなって褒める回数が増えた」(Hさん)という。

ブログで毎日必ず誰かを褒める

 褒めることを習慣化するコツとして、取材したITエンジニアの数人が共通して指摘したことがある。それは、「前向きにとらえて褒めようとする“褒めるモード”と言うべき心理状態を維持すること」(大手SIerのIさん)だ。

 その対極にあるのが“叱るモード”。マネジャーは無意識のうちに、叱るモードにはまってしまうという。なぜなら、プロジェクトを円滑に進行させるには、問題が生じなかった部分や問題が解消された「良い部分」より、問題が残っている「悪い部分」に目を向ける必要があるからだ。

 そこで、別の大手SIerでプロジェクトマネジャーを務めるJさんは、「日ごろから叱るモードにはまらないように気を付けている」という。そのサインとなるのが、いらつきだ。いらついているなと感じたら、すかさず歩き回ったり食事を取ったりして気分転換し、褒めるモードに意識して切り替える。

 前出・Iさんは、「一日一誉」という社内ブログを付けることで、褒めるモードを維持している。「褒めるブログを続けることで、日常的に褒める対象を探すようになった。これが、褒めるモードの維持に役立っている」(Iさん)という。褒める対象は、メンバーに限らず、オフィスの警備員やタクシーの運転手など誰でもよいことにしている。

褒めることを習慣化する「褒めブログ」
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 毎日付けるブログのように日常的に行う活動によって褒めるモードを維持し、褒めることを習慣化しているITエンジニアはほかにもいる。外資系コンサルティング会社のAさんは、毎週、メンバー一人ひとりの褒めるポイントを洗い出し、定期的に褒めるきっかけにしている。

 パッケージ開発会社役員のCさんは、メンバーから受け取った月次作業報告書の達成事項を「褒めてほしいポイントの自己申告」ととらえ、一人ずつ前向きなコメントを書き込んで返し、褒めることを習慣化している。