「寝具2.0」。快適な睡眠を提供することを使命とする老舗の寝具メーカーが、スリープテックを取り入れた製品を相次いで市場に投入している。スリープテックによって可視化した睡眠の状態を元に、寝具に工夫を施していかにより良い睡眠へと導くことができるかが開発の焦点だ。“睡眠の本丸”による競争が激しくなりそうだ。

寝ている人の状態に合わせてベッドが自動変形

 設立は1947年。これまで医療・介護分野に向けた寝具を主力としていたパラマウントベッドは、寝ている人の状態に合わせて、形状が自動的に変化するベッド「Active Sleep」シリーズを2019年6月1日に発売する(関連記事「一晩中見守って眠りやすい姿勢を維持してくれるベッド、パラマウントが発売」)。ユーザーの睡眠状態を検知し、それに合わせて入眠時から熟睡中、起床時へと電動ベッドの背の角度を自動で変化させる。

パラマウントベッドの電動ベッド「Active Sleep BED」
別売りの睡眠状態計測器「Active Sleep ANALYZER」を使い、「入眠」「熟睡」「起床」という各段階に最適のベッド形状へと自動で変形する(撮影:日経 xTECH)
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 この機能は、電動ベッド「Active Sleep BED」(シングルが19万円、税別)と、心拍、呼吸、活動量(睡眠時の体動)から睡眠状態を計測する「Active Sleep ANALYZER」(5万円、税別)を組み合わせることで実現する。

 具体的には、入眠時は20°など、寝つきやすい背を起こした姿勢をキープする形になる。そして寝ついたことを検知すると、寝返りを打ちやすいフラット状態へと移行。この際、ベッドの変形によって覚醒させないために1分に1°という緩やかな変形スピードを採用した。そして起床時には設定起床時間近くで眠りが浅くなるタイミングに合わせて背を上げ、自然な目覚めを促す。専用アプリを使い、スマートフォンから睡眠状態を確認・記録したりベッドのリクライニングを操作したりすることも可能だ。

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スマホアプリと連携
電動ベッドはスマホからも操作可能。睡眠状態に合わせて変形する「自動運転」モード設定などができる(左)。もちろん、睡眠の計測結果もスマホから確認できる(右)(撮影:日経 xTECH)

 開発の元になったのは、同社が医療・介護現場で得た知見だ。COPD(慢性閉そく性肺疾患)に代表されるような呼吸器疾患の患者などは、背を起こすと気道が確保されて呼吸が安定し入眠しやすくなる。このため、医療・介護施設では看護師などが患者の就寝時に電動ベッドを操作しているケースがよくあるという。また、胃液などが食道に逆流する逆流性食道炎の患者も、背を起こすことで寝つきがよくなる。こうした知見を元に最新のセンシング技術なども応用し、一般消費者に向けて“全自動”を前面に打ち出したスリープテック製品として売り出すのが、今回の製品だ。

 パラマウントベッドは、頭から足までの6部位に分けて硬さを変えられるマットレス「Active Sleep MATTRESS」(シングルが19万円、税別)も同時に発売する。マットレスはこれまで、自分に合うかどうか確信が持てないままに購入するしかない類の製品で、その状況を覆すことを目指す。

 上下のウレタン層で23本のエアセルを挟んだ構造を採用しており、部位ごとに10段階の硬さに制御できる。エアセル用のポンプはマットレスに内蔵する。購入後、日々寝てみながら自分に最適な硬さに調整できる。

 一般に、マットレスは体の硬さに合わせると良いとされている。体格が小さく華奢な人は軟らかくすることで体を支える面が大きくなってリラックスしやすい。筋肉質の人などはマットを硬くすることで沈み込み過ぎを防ぐことができる。今回のマットレスであれば、加齢などによる体形の変化に合わせることも可能だ。実はこのマットレスも医療・介護発の技術を元にしたもの。3部位で5分に1回ずつ硬さを変えることで体圧の集中を防ぐ、褥瘡(じょくそう、床ずれ)対策エアマットレスの技術を応用したという。

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