2020年の東京オリンピック・パラリンピック(東京大会)で参加選手ら約2万人に向けて各自に最適なベッドを提供し、メダル獲得に向けたベストパフォーマンスを引き出す眠りを実現する――そんな“野望”を抱いているのが、樹脂繊維を使ったマットレスなどを開発・販売するエアウィーヴだ。まだ正式決定ではないが、東京大会のオフィシャル寝具スポンサーである同社は、こんな構想を実現する計画を組織委員会に提案中だ。

 最適な寝具の「硬さ」は、ユーザーの好みのほか、体形や筋肉量により異なる。同社ではアスリートの体形データの計測と最適な寝具の研究を進めている。一般に筋肉質な人は硬い方が、華奢な人は柔らかい方が寝返りを打ちやすく、深い睡眠を確保しやすいとされる。アスリートは競技の種類などによって筋肉が多い部位が異なる傾向にあり、寝具を部位ごとに適切な硬さに調節できることが望ましい。

 例えば同社製品の愛用者である元フィギュアスケート選手でプロスケーターの浅田真央氏は、肩は標準、腰はやや硬め、足は硬めが好みだという。ふくらはぎが発達しており、脚部の比重が大きいためと考えられる。スキージャンプの高梨沙羅選手の場合は、体が比較的平坦なため、3部位とも標準を選んだ。トップアスリートでもその組み合わせは様々なのだ。

体形の計測を行う高梨沙羅選手
(写真:エアウィーヴ)
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トップアスリートの最適なマットレスは十人十色
エアウィーヴではアスリートの体形を計測して最適なマットレスの硬さとの関連を調べている。筋肉が発達した部位は比重が大きくなり、より硬いマットレスの方が適している(図:エアウィーヴ)
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 エアウィーヴは東京大会のオフィシャルスポンサーとしてブランド力の向上を狙うとともに、約2万人のトップアスリートの体形という大規模でユニークなデータを取得しようとしている。

 同社では2008年の北京オリンピック以降、大会に参加する日本代表選手らに携帯用のマットレスパッドなどを提供し、2012年のロンドン大会以降は個別の最適化を試みてきた。例えば、2014年のソチ大会では、4種類の硬さのマットレスパッドを用意し、同社スタッフがカメラと解析ツールを使って体形に合わせたフィッティングを行った。2016年のリオ大会、2018年の平昌大会ではさらにマットレスパッドの種類を6種類に増やすなど充実させた。

 ただし、東京大会では日本だけでなく各国の代表選手に対応する必要があるため、スタッフが個別にフィッティングを行うことや数種類のマットレスパッドを用意するのは難しい。そこで提案しているのが、「3分割セルフ組み換え式ベッドマットレス」と「スマホアプリを使ったフィッティング」だ。

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