「中国の人件費上昇を上回る生産性向上を念頭に改善を進めている」――。オムロン上海董事・総経理の西山正人氏はこう語る。上海市郊外にある同社の工場は、リレーやセンサー、PLC、温度調節器などを生産するオムロンのインダストリアルオートメーション事業(IAB:制御機器事業)の中核工場。生産品目数は2万2000種に及び、生産出荷高は30億中国元(約480億円)とIAB全体の約35%を占める(図1)。中国の制御機器市場拡大に伴い生産高も伸びており、2018年7月には新工場となる「第2工場」が稼働開始した。

図1 オムロン(上海)外観
(出所:オムロン)
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 同工場が、ここ数年推し進めているのが自動化やIoT化による生産性向上だ。いま中国のメーカーは工場の自動化・省人化に力を入れており、それに伴いIABの商品である制御機器やセンサーの需要も拡大している。一方で同国の人件費は上昇を続け、価格競争力を保つのが難しくなっている。そこで同工場は、省人化・高効率生産によって品質を確保しながらいかに原価を抑えるかに腐心している。

セル生産で高度10mの改革

 上海工場は、主に1階が実装機による電子部品実装フロア、2階がセル生産による製品組み立てフロアとなっている。電子部品実装工程はもともと実装機による自動化が進んでいる。いま力を入れているのは、手作業が中心のセル生産の生産性を高める取り組み「セルラインコントロールシステム」(CLCS)の展開だ。

 上海工場を率いる西山氏は、「目指しているのは日本以上の品質。データ分析による予兆管理やポカヨケで不良を造れないラインを構築する」と語る。セルの稼働データを集めて現場を見える化したり、作業ミス防止の仕組みを組み込んだりする。データで見える化すれば改善も進めやすい。

 これは、オムロンが掲げるものづくりのコンセプト「i-Automation!」に基づいた取り組みでもある。i-Automationは、「integrated(制御進化)」、「intelligent(知能化)」、「interactive(人と機械の新たな協調)」の3つの「i」で生産現場を革新しようというもの。IABの製品群でこの実現を支援するとともに、自社工場でも実践しているのだ。

 例えば、主に温度調節器やタイマーを製造する第1工場では、組み立てラインのセルに光電センサーなどを幾つも組み込んで作業ミスを防いでいる(図2)。光電センサーで作業者の手の動きを検出し、作業の着手・完了を把握して手順が正しいか、電動ドライバーの回転数を計測してねじ締め作業が適正に行われたかなどをチェックする。作業が正常に行われていないと、アラームが出て上方のディスプレーに表示された作業指示画面が次の手順に切り替わらず、「不良を造れない」仕組みとなっている。

図2 第1工場の組み立てセル
セルに光電センサーなどを組み込んで作業者の動きを検出。作業ミスを防いでいる。(写真:日経 xTECH)
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