鶴岡東工場
正式名はTDK庄内 鶴岡東工場。敷地面積は2万4400平米、工場棟の面積は1万6525平米あり、約150人が働く。(写真:日経 xTECH)
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 自動車の電装部品などで使われる薄膜コイル(インダクター)部品を製造するTDK鶴岡東工場(山形県鶴岡市)。もともとはルネサスエレクトロニクスがアナログICなどを製造していた工場で、2016年にTDKが約270人の従業員込みで買収、2017年から稼働を始めた。現在は約150人が働く。

薄膜コイル
電流が流れる配線をめっき工程で形成するコイル(インダクター)。小さいが大電流が流せるため、自動車電装部品の電装回路向けなどで採用が増えている。(出所:TDK)
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 主要な製造品目は薄膜コイルである。金属の基板上にめっき工程で電極を形成するTDK独自の手法で製造する電子部品で、超小型ながら大電流が流せる特徴がある。最近は自動車向け電装部品の電源回路などで需要が増えているという。

 薄膜コイルはもともと、車載用コイル部品などを製造する近隣の酒田工場(山形県酒田市)で生産を始めた部品。需要が増え、生産設備が手狭になったため、新しく入手した鶴岡東工場にも薄膜コイル製造ラインを設置。同部品専用の工場として2017年に稼働を始めた。

TDK鶴岡東工場の薄膜コイルのめっき前工程を自動化する装置
(写真:日経 xTECH)
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 その鶴岡東工場の1階フロアに1台のロボットが稼働する工程がある。透明アクリルの防護板に囲われたそのロボットは、ケースからレジスト済みの金属基板を取り出し、透明アクリル製のトレーに載せる作業を黙々とこなす。薄膜コイルの材料となる基板を次のめっき工程用の治具に載せ替える「めっき前工程」である。

 実は2018年10月にこのロボットが稼働するまでは、めっき前工程は手作業で実施していた。なぜロボットに置き換えたのか? もちろん省力化は目的の1つだがすべてではない。「最終的にはロボット化という解になったが、最初から自動化ありきではないのがTDKらしい部分」(TDK電子部品ビジネスカンパニーマグネティクスビジネスグループデピュティゼネラルマネージャーの中野敦之氏)。

中野敦之氏は4月1日付けでTDKの品質保証本部長に就任する予定。

欠陥ゼロを目指す「あるべき姿」活動

 TDKは2013年10月から「品質欠陥ゼロ」を合言葉に、全製品の製造工程をすべてゼロから見直す大胆な改善活動を始めた。それが「あるべき姿」活動である。実はこの活動が始まったのは酒田工場の薄膜コイル製造工程だった。

TDK酒田工場
(写真:日経 xTECH)
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 「あるべき姿」活動は従来の改善活動などの反省から生まれた。「製造工程に潜在するすべての品質不良リスクを洗い出し、ゼロにするのが目標」と、マグネティクスビジネスグループでこの活動を主導した中野氏は話す。

 従来の改善活動は歩留まりやコスト優先で、「大きな改善成果」を追う傾向があったという。このため製造工程は作りやすさや生産性が優先され、部分最適になったりしていた。「ライン全体を分析すると人手に頼る部分や工程間搬送中の衝撃など、工程内に不良を作ってしまう原因(リスク)を多数残していた。たくさん作って最終検査で不良品を弾けばいいという考え方から脱却して、そもそも不良品を作らないという方向に転換するにはすべての工程をゼロから見直す必要があった」(中野氏)。

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