みなさんは「ハコボーイ!」(開発:ハルL研究所/配信:任天堂)というゲームをご存じでしょうか?2015年に配信専用ソフトとしてひっそりと第1弾がリリースされたニンテンドー3DS用ソフトです。

ハコだけのパズルが、ハ~コんなに楽しいなんて!(イラスト:闇雲)
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 個人的には過去10年で最も衝撃を受けたゲームソフトです。中身は折り紙付きの大傑作。ここ数年、知人から「なんか面白いゲームない?」と問われるたびにオススメしてきましたが、一度もハズレなし。百発百中でみなさんハマってくれました。

「ハコボーイ!」シリーズの基本画面
とことんシンプルなパズルゲーム。右へ進み、ゴールすればステージクリアとなる。画像はシリーズ3作目「さよなら!ハコボーイ!」から( ©2017 HAL Laboratory, Inc. / Nintendo)

 ハコボーイ!は様々な障害を越えていく、ステージクリア型のパズルゲームです。ゲーム画面を見ると、まるでゲームボーイの時代かと錯覚しそうになるほどグラフィックは地味ですし、主人公(「キュービィ」という名前です)に至っては正方形に目と手足が付いているだけ。あえて褒めれば極限まで記号化されたキャラクターともいえるかも。いろいろ力説しても「全く魅力的に思えない」とお感じかと思いますが、ぜひだまされたと思ってプレーしてみてください。ゲームに慣れている方なら、このゲームがとんでもなく革新的であるとすぐに気付くはずです。

ハコを出して何かをする
主人公にできるのはハコを出すことだけ。この場面は、ハコを足場にして段差を突破したところ。こうやって障害を越えていくゲームなのだ(©2017 HAL Laboratory, Inc. / Nintendo)

 ハコボーイ!シリーズ最大の特徴は極限まで文字情報がそぎ落とされた画面設計です。例えば「Bボタンを押すとジャンプ」といった、ゲーム操作に必要最低限の文字情報すら表示されません。ゲームの目的も表示されません。どうすればステージクリアになるのか、といった情報すら文字として表示されないのです。しかも配信専用ソフト。紙に印刷した取り扱い説明書はもちろんプレーヤーの手元にはありません。

 普通なら操作もできないはずです。なのに、誰もが迷うことなくプレーできてしまう不思議さ。

 プレーヤーはすぐに主人公の操作方法を理解し、次々に訪れる障害をいかにして突破するかに頭を悩ませ、謎が解けた瞬間に「そういうことか!」と膝をたたかんばかりの充足感を味わえます。まさにパズルゲームならではの妙味にあふれています。あまりにスムーズにゲームに没頭できるため、そこに「文字情報がなかった」という事実自体に多くのプレーヤーは気付かないかもしれません。

 もしも遠い未来にテレビゲームが学問研究の題材となり、そこに「ゲームデザイン史」という分野が生まれたならば、その教科書にはぜひ「ハコボーイ!」の解説を大きく掲載してほしい。私が教科書の執筆者に選ばれたら絶対にそうします。

 そう断言できるのは、文字を一切使わずに、これほど膨大な情報をプレーヤーに伝達するのに成功しているゲームをハコボーイ!シリーズ以外に知らないからです。ハコボーイ!こそ、老若男女、人種、言語環境などに左右されずに誰でも操作できる「ユニバーサルデザイン」の究極だと個人的には評価しています。

数少ない文字表示は「ステージクリア」のときくらい
これは数少ない文字情報の表示シーン。ステージクリア時の「おめでとう!」程度の演出時しかない。とことん文字は出てこない。(©2017 HAL Laboratory, Inc. / Nintendo)

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