元ゲームデザイナーの世永玲生です。あなたの周りにも「ゲームにハマってる」人がいると思います。

大小様々な「目標(ミッション)のクリア」を目指すのがゲームの構造(イラスト:闇雲)
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 「気がつくとついスマホゲームを立ち上げている」「いったん始めると始めると夜中までゲームをやめられない」という人が周囲にいるかと思います。友人や同僚、あるいはお子さんなどなど。

 え、あなた自身がそうなんですか? なるほどそれは好都合です。今回はなぜ、あなたがゲームをやめられないか、ご説明しましょう。そこには人間の心理を知り尽くしたゲームデザイナーの「設計意図」が隠されているからです。

報酬でプレーヤーの達成動機を操る

 ゲームとはなんでしょう? 実は全てのゲームは大小様々な「目標(ミッション)のクリア」を組み合わせて作られています。それぞれ長時間のプレーだったり、課金であったり、素晴らしいゲームプレーによる素晴らしい結果がミッションのクリアに必要で、小さなミッションクリアの積み重ねが大きなミッションクリアにつながるといった構造を採るのがほとんどです。

 ではなぜ⼈はミッションをクリアしようと考えるのでしょうか? ミッションクリアには様々な障害を乗り越え、目標に向かってゲームプレーを継続するための「やる気」が必要です。このやる気を「達成動機」といいます。

 この「達成動機」はどのように⽣まれているのでしょうか? その1つは「報酬」との紐付けです。どの様に報酬と紐付けプレイヤーの達成動機を醸成するか。ここがゲームデザイナーの腕の⾒せ所です。

 ある報酬を得るためにミッションをクリアする。これを繰り返してゲームを進めていくように「設計」します。ミッションはおおむね、①デイリー(毎日)、②ウィークリー(毎週)、③イベントの3種類に分かれます。1週間単位でクリアすべき目標を定め、毎日ログインしてコツコツ小さな目標をクリアするように誘導する。イベントを適宜仕掛けて、強い達成動機を誘引する。こんな感じでゲームはできているのです。

 報酬はおおむね次の3つが定番です。①課金アイテム、②ゲーム内通貨、③限定アイテムや特定のキャラクター、です。それぞれ適切なシーンや効果が異なり、使い方にも注意が必要になります。まずそのあたりを説明しましょう。

「金策」を達成動機の1つにする

 「課金アイテム」はいわゆる「石」です。「モンスターストライク(モンスト)」だったら「オーブ」、「パズル&ドラゴンズ(パズドラ)」では「魔法石」などが課金アイテムです。欲しいキャラクターを当てるゲーム内くじ引き(ガチャ)を引いたり、強い武器などのアイテムを買ったりする際に使います。

 課金アイテムはその名の通り通常は課金して購入します。ですが、いわゆる「無課金プレーヤー」のために、無料で課金アイテムを入手できる何らかのミッションを設定するのが普通です。

 ゲームデザイナーの視点で見ると課金アイテムを入手できるミッションは極力少なくすべきです。簡単に入手できるとそもそも課金する人が減り、収益性が悪化するからです。とはいえ、ある程度の無課金プレーヤーが存在しないと、そもそも課金プレーヤーが増えません。無課金プレーヤーはいずれ微課金プレーヤーとなり、そして立派な課⾦プレーヤーと成⻑する。というのがアイテム課⾦型ゲームの理想の形です。

 ちょっと話がずれますが、運営が行き詰まったゲームで課金アイテムを配りまくる例がときどき見受けられるのは、収益を捨ててプレーヤー数の維持に走っているからです。無課金プレーヤーが一定数以下になると、ゲーム自体をクローズせざるを得なくなります。外からは一目見て「苦戦してるな」と思う状態です。

 次に「ゲーム内通貨」。こちらは、キャラクターの強化や武器などアイテムの入手などに使います。通常はなんらかの小さなミッション(例えば毎日プレーする)などで入手できるようにします。大多数のプレーヤーにとっては「金策」が達成動機の1つになるようにデザイナーはゲームを設計します。そのため「余り過ぎない」加減が重要とされます。ユーザーが喜ぶ程度に、そして過剰にならないように供給をコントロールし、その上で的確な値付けを行う必要があるわけです。

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