何の建物か分かりますか? 工場ではありません(写真:吉田 誠)
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 今回は建物上部の写真から始めてみた。冷凍倉庫? 水質処理工場? 違う。ある地方都市の観光を激変させたといわれる美術館である。

 この美術館、2019年4月1日に、公式ツイッターでこんな文章を発信して話題になった。「新しい元号に合わせて『金沢令和美術館』に名称変更することになりました。 当館を‘21美’と読んで下さっている方、これからは‘令美’と読んでくださいね。 本日4月1日。エイプリールフール」

 つまり、エイプリルフールの嘘ということなのだが、こんなちゃめっ気のあるツイートを発信できてしまうことも、従来の公立美術館との違いを象徴している。

金沢21世紀美術館のツイッター
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 新元号が「令和」に決まった19年4月1日、書籍「検証 平成建築史」(内藤廣+日経アーキテクチュア著)が発行となった。同書の企画として、「平成の10大建築」を選定した。建築分野のキーパーソン20人に「私の平成建築10選」を挙げてもらい、その得票数で「平成の10大建築」を選んだ(20人の顔ぶれはこちらを参照)。その結果を、カウントダウン形式でお伝えしている。

 今回は14票を獲得して2位となった「金沢21世紀美術館」である。

平成の10大建築─2位
(14票獲得)
金沢21世紀美術館
所在地:金沢市広坂1-2-1
設計:SANAA
竣工:2004年

西側から見下ろした開館当初の外観。ガラス張りの平面の中に、大小の四角い展示室がランダムに配置されている(写真:吉田 誠)
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 念のため説明しておくと、設計者名の「SANAA」は、「サナア」と読む。海外の設計事務所ではなく、妹島和世氏と西沢立衛氏によるユニット「SANAA(Sejima and Nishizawa and Associates) 」だ。2010年には、建築界のノーベル賞とも呼ばれるプリツカー賞を受賞している。

 妹島氏、西沢氏とも個人での活動も展開しており、この「目利きが厳選!平成の10大建築」で4位に入った「豊島美術館」は、西沢氏が個人で設計を手掛けたプロジェクトだ。

 日本の公立美術館の流れを変え、SANAAの評価を確固たるものにした金沢21世紀美術館の特質を、建築史家で大阪市立大学准教授の倉方俊輔氏にリポートしてもらう。
(ここまで宮沢 洋=日経 xTECH/日経アーキテクチュア、以降は倉方 俊輔=建築史家・大阪市立大学准教授)

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