いよいよ本日、2019年4月1日、書籍「検証 平成建築史」(内藤廣+日経アーキテクチュア著)が発行となる。同書のナビゲーターである建築家の内藤廣氏が、「平成の建築を10選べと言われて最初に頭に浮かんだ」というのがこの建築だ。

天井部から吊り下げられたリボンが、開口部からの風の動きを感じさせる。床の小さな穴から湧きだした水が生き物のように動いて、消える(写真:森川 昇)
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 用途としては「美術館」だが、美術品を「閉じた空間」でがっちり守る従来の美術館のイメージとは全く異なる。天井の丸い穴からは、直射日光が差し込み、雨風も吹き込む。壁と屋根の区切れ目が無い内部は白い洞窟のようだ。内藤氏は、「原初的な体験がこの建築の魅力」と言う。

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 書籍「検証 平成建築史」(内藤廣+日経アーキテクチュア著、2019年4月1日発行)のための企画として、「平成の10大建築」を選定した。建築分野のキーパーソン20人に「私の平成建築10選」を挙げてもらい、その得票数で「平成の10大建築」を選んだ(20人の顔ぶれはこちらを参照)。その結果をひと足先に、カウントダウン形式でお伝えしている。今回は6票を獲得して同数4位となった建築だ。

 実はこの企画を考えた筆者(日経アーキテクチュア編集長の宮沢洋)も、最初に頭に浮かんだのはこの建築だった。ベストスリーに入らなかったのは、「東京から行くのに時間がかかる」→「上位3つに比べて実際に見た人が少ない」という理由が大きいと思われる。

 前振りが長くなったが、今回紹介するのは西沢立衛氏(西沢立衛建築設計事務所代表)の設計で2010年に竣工した「豊島(てしま)美術館」である。瀬戸内海に浮かぶ小さな島、豊島にある。

2010年10月のオープン直後に南側から見た豊島美術館。 右手に見えるのがアートスペース。 左奥に見えるのは、カフェなどがあるラウンジ(写真:日経アーキテクチュア)
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平成の10大建築─4位
(6票獲得した同数4位が3件)
豊島美術館
所在地:香川県土庄町豊島唐櫃607
設計者:西沢立衛建築設計事務所
竣工:2010年9月

 建築史家で大阪市立大学准教授の倉方俊輔氏に、この建築の特質をリポートしてもらう。
(ここまで宮沢 洋=日経 xTECH/日経アーキテクチュア、以降は倉方俊輔=大阪市立大学准教授)

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