「環境の広がりの中に全ての要素があたかも元いた場所のように収まる。敷地の大きさ、起伏、緑などと、点在する建築物との調和、サイトスペシフィックな建築のありさまが秀逸だ」(細田雅春・佐藤総合計画代表取締役社長)

 「建築とランドスケープの融合を通して、人を葬る施設でありながら『死』より『生』を強く意識させる建築である」(千鳥義典・日本設計代表取締役社長)

建築はどこ?と、探してしまうこの写真。この施設では、建築は脇役。主役はランドスケープだ(写真:日経アーキテクチュア)
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 大手設計事務所の社長2人が共に絶賛するこの建築。お分かりだろうか。公園と一体化する形で整備されているのは、なんと火葬施設である。

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 発行が目前の書籍「検証 平成建築史」(2019年4月1日発行予定、内藤廣+日経アーキテクチュア著)のための企画として、「平成の10大建築」を選定した。建築分野のキーパーソン20人に「私の平成建築10選」を挙げてもらい、その得票数で「平成の10大建築」を選定した(20人の顔ぶれはこちらを参照)。その結果をひと足先に、カウントダウン形式でお伝えする。

 さて、4回目の今回紹介するのは、同数7位の「風の丘葬斎場」である。私事で恐縮だが、投票でベストテンに選ばれた建築の中で、企画者である筆者(日経アーキテクチュア編集長の宮沢洋)が実物を見たことのない建築が2つあった。その1つが「風の丘葬斎場」だ。プリツカー建築賞(1993年)の受賞者でもある槇文彦氏の設計で、大分県中津市に1997年、完成した。

南側から見た全景。左から相原山首遺跡(古墳群)、葬斎場のホール、葬斎場の待合室や炉室。手前が楕円形の「アースディッシュ」。すり鉢状にわずかに傾斜している。開館当初(1997年)に撮影(写真:吉田 誠)
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平成の10大建築─7位
(5票獲得した同数7位が4件)
風の丘葬斎場
設計:槇総合計画事務所
ランドスケープ設計:ササキ・エンバイロメント・デザイン・オフィス
竣工:1997年2月

八角形平面のホールの外観。外壁はれんが積み。足元の水盤は、ホール内に太陽光を反射させる。以下の写真とも2018年12月に撮影(写真:日経アーキテクチュア)
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 東京からはなかなか行きにくい場所にあるが、この機会にぜひ見てみたいと思い、足を運んだ。今回は筆者が見どころを紹介する。

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