「技術や都市の開発が未来だけを対象にしていた昭和の時代から、平成への転換を物語るプロジェクト」──。

 建築史家の倉方俊輔氏(大阪市立大学准教授)がこの建築についてそう書いているのを読んで、「なるほど!」と膝を打った。確かに、このプロジェクトでは、通常は未来のために使われる先端技術や新たな制度が、過去を輝かすために使われている。

銀色の柱は新設したもの。柱頭装飾の下に見える「AD MMXII」の刻印は、工事が完了した「西暦2012年」を示している。どこの建物か分かりますか?
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 初回の「関西国際空港旅客ターミナルビル」をクイズ形式で始めたところ、まずまず好評だったようなので、今回も室内から始めてみた。お分かりだろうか。

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 現在編集中の書籍「検証 平成建築史」(2019年4月1日発行予定、内藤廣+日経アーキテクチュア著)のための企画として、「平成の10大建築」を選定した。建築分野のキーパーソン20人に「私の平成建築10選」を挙げてもらい、その得票数で「平成の10大建築」を選定した(20人の顔ぶれはこちらを参照)。その結果を一足先に、カウントダウン形式でお伝えする。

 さて、2回目の今回紹介するのは、同数7位の「東京駅丸の内駅舎保存・復原」である。

2012年10月1日の開業当日、南ドームを見上げ写真を撮る人々。丸の内駅舎は 辰野金吾(1854~1919年)の設計で1914年に完成。45年の東京大空襲で3階部分を焼失し、2階建てに改修された状態で60年以上使われていた。復元した南北2カ所のドームの内装は、創建当時の写真や資料を基にした(写真:澤田 聖司)
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平成の10大建築─7位
(5票獲得した同数7位が4件)
東京駅丸の内駅舎保存・復原
改修設計:ジェイアール東日本建築設計事務所
改修竣工:2012年10月

南西側から俯瞰(ふかん)した東京駅丸の内駅前広場。同広場は駅舎の復元から約5年後の2017年12月7日に完成した。真っ白な“帯”は広場の西端(下方)まで延びる。帯の駅舎側端部の両脇には夏場、水が張られる(写真:日経コンストラクション)
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 企画した編集担当者としては正直、このプロジェクトが選ばれるのは想定外だった。20人へのアンケートは選択肢形式ではなく、自由回答。しかも「改修も含む」といった断り書きはなかった。そうした中で、このプロジェクトがトップテンに入ったのは、まさに「時代の変化」「日本人の意識の変化」を象徴する事業だからだろう。
 
 このプロジェクトを工事段階にも取材したことがある建築史家の倉方俊輔氏(大阪市立大学准教授)に、見どころを紹介してもらう。

(ここまで宮沢洋=日経アーキテクチュア編集長、以降は倉方俊輔=大阪市立大学准教授)

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