関東私鉄の東京急行電鉄(東急)は2019年1月から「郊外型MaaS(モビリティー・アズ・ア・サービス)」の実験を始めた。郊外と都心を結ぶ鉄道を建設し、沿線の都市開発で成長してきた東急だが、最近は住民の高齢化や若者の減少という問題に直面している。そこで東急は、MaaSでこの課題を克服しようとしている。

 「この街は急速に高齢化が進む見通しで、衰退の危機にある。今から手を打たなければ厳しい事態に陥る」。東急が始めた郊外型MaaSの現地説明会で、同社の都市創造本部開発事業部事業統括部次世代郊外まちづくり課の森口雅昭課長補佐はこう語りかけ、危機感をあらわにした。地方の過疎地の話ではない。人口約370万人を誇る横浜市、その北部に位置する青葉区の東急田園都市線たまプラーザ駅周辺での話題だ。

横浜市青葉区にある東急田園都市線たまプラーザ駅。東急はここを「郊外型MaaS」の実験場所に選んだ
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 東急はMaaSを郊外型と観光型の2つに分けて、それぞれ実験を進める計画だ。郊外型MaaSの実験場所として選んだのが、住民の高齢化が顕著であるたまプラーザ駅周辺である。地元の住民向けに、ITを駆使して、移動の利便性を高める施策を推進していく。

渋谷駅から22分、60年前にできた「古い」ニュータウン

 たまプラーザ駅から東京・渋谷駅までは、急行電車で22分。都心まで決して遠くない。東京メトロ半蔵門線に乗り入れており、オフィス街である永田町や大手町まで乗り換えなしで行ける、通勤に便利な立地だ。

たまプラーザ駅のホーム。東京・渋谷駅や都心のオフィス街まで直通電車が走る
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 たまプラーザ駅は東急が主体となって、1960年ごろから開発を始めたニュータウン「東急多摩田園都市」の中核拠点である。MaaSの実験場になるたまプラーザ駅北側の美しが丘1~3丁目の面積は約1.2平方キロメートル、人口は約1万5000人。閑静な街並みに、一戸建て住宅や低層アパートが立ち並ぶ。

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