クラウドへの期待が大きいせいか、「こんなものか」という利用企業の嘆き節が聞かれる。70社の事例を検証すると、クラウドを巡っては「5大がっかり」があることが判明した。

 伊勢神宮の近くで土産物店併設の食堂を運営するゑびや(三重県伊勢市)はクラウドサービスによって顔認識AI(人工知能)システムを構築し、土産物店への来店客の人数や属性、感情を分析している。「ECサイトのように、データに基づく店舗運営を実現したかった」。ゑびや社長の小田島春樹氏は、目的をこう話す。

(出所:123RF)

 ゑびやの顔認識AIシステムは2017年7月、映像機器ソフトメーカー、アロバの「アロバビューコーロ」という店舗マーケティングシステムを使って構築した。この製品には、米マイクロソフト(Microsoft)のクラウド「Azure」の顔認識AIサービス「Face API」が組み込まれている。

 Face APIに人物の映った画像を入力すると、その人の性別や年齢、怒りや喜びといった感情の度合いを示した数値、眼鏡の有無などの判定結果が返される。ゑびやは店内に設置したカメラの画像を基に、Face APIにより来店客の人数や性別、年齢、笑顔の度合いなどを分析する。これとは別の仕組みで、店の前の通りに赤外線カメラを設置し通行人数をカウントするという取り組みもしている。

顔認識AIで来店客数や顧客の属性を把握(2017年7月時点)
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AIは日本人女性を若く判定しがち

 既存の店舗マーケティングシステムを使ったこともあり、「顔認識システムを早く導入できた」と小田島氏は語る。構築期間は約2カ月だ。

 しかしデフォルト設定でのFace APIによる顔認識の判定結果は、補正が必要だった。

 小田島氏は「Face APIは、日本人の女性について実年齢より若く判定する傾向がある。化粧が影響するためだと思う」と語る。マイクロソフトはFace APIのアルゴリズムや機械学習に用いた教師データを公開していないので推測の域を出ないが、人の目より化粧にごまかされやすいといえる。

 判定結果と実年齢(小田島氏らの目による判定)のずれを解消するため、ゑびやはFace APIの分析結果に対して数歳を加えるなどの補正をしている。これにより、実用レベルの精度を出すことができたという。出来合いのクラウドAIを使う場合は、癖を見抜いてそれを踏まえた運用をする必要があるというわけだ。

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