「航続距離が短く価格も高い。電気自動車(EV)バイクを買うことは妥協でしかない。しかし、これは従来までの話だ。利便性を高める電池交換の仕組みで常識を変える」――。

 こう意気込むのは、台湾のガソリンバイク首位、キムコ(KYMCO)グループ会長のAllen Ko氏だ。自社で電池交換プラットフォーム(PF)「iONEX(アイオネックス)」を手掛け、2021年までに20カ国に展開していく。同年までに、対応車両を現在の2車種から10車種まで増やす。

 充電時間を減らす電池交換式EVバイクは、日本勢ではホンダが市場投入済み。2019年4月には、ホンダやヤマハ発動機など日本のバイク4社が連合を組み、交換式電池パックの規格統一に動き出した。台湾のみならず中国やインドにも照準を合わせるKYMCOの攻勢は、同市場を狙おうとする日本勢の脅威となる。

(聞き手は窪野 薫=日経 xTECH)

台湾キムコ(KYMCO)グループ会長のAllen Ko氏(撮影:日経 xTECH)
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世界中でEVバイクの開発が活発になっている。

 これまで、多くのメーカーがEVバイクの開発に乗り出してきたが、本格的な量産まで進めたケースは多くない。一般的なEVバイクでは、(航続距離といった)利便性でガソリン車に遠く及ばないからだ。顧客が求める性能を満たせていない。妥協ではなく、顧客が買いたくなる車両を実現するためにはどうすれば良いか、KYMCOが行きついたのが電池交換式だ。

 KYMCOは、これまでガソリンスクーターを主軸に展開してきた。電池交換式EVバイクの事業化は、PFや車両の開発だけではなく、株主の説得にも大きな壁が存在した。EVバイクの実現でどれだけの利益を上げられるのか、疑問の声が聞こえてきた。

 確かに、モーター駆動にすると、エンジン駆動よりも簡単に車両を開発できるようになる。モーターでは他社のEVバイクと性能差を出しにくい。

 差異化のカギを握るのがiONEXだ。車両や電池交換ステーションなどを通信でつなぎ、クラウドを使って統合的に管理する。車両だけを開発したり、電池パックだけを手掛けたりするメーカーはあるが、通信や操作用アプリまでを自社で手掛けているのは珍しい。電池交換の仕組みを、顧客の要望に合わせて改良し続けられる強みがある。

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