電池を「交換式」にした電気自動車(EV)のゴミ収集車が走り出した――。川崎市が2019年2月に運用を始めた同車両は、商用EVの欠点を埋めるカギとなる電池交換式の技術を搭載している(図1)。充電による待ち時間を大幅に減らし、車両の稼働率を高めるものだ。環境規制を背景に、世界的なEVシフトの波は商用車にも押し寄せ、トラックやバス、建設機械などで同技術の適用が広がっていく。

図1 川崎市は2019年2月に電池「交換式」小型EVトラックの運用を始めた(出所:川崎市)
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 「輸送効率の向上は深刻な問題だ」。国内の商用車最大手である日野自動車社長の下義生氏は苦悩の表情を浮かべる(関連記事:特集「商用車クライシス」)。

 特に深刻なのはモノを運ぶトラックだ。米アマゾン・ドット・コム(Amazon.com)を筆頭とする「Eコマース(電子商取引)」事業者の台頭で宅配物の量が急増。国土交通省によると、日本における宅配便の取り扱い個数は5年間で約1.3倍に増え、2017年度に約42億個となった。もちろん中国や米国といった大国では、日本をはるかに超える数の宅配便が日々動いている。

 そのしわ寄せの大部分は物流事業者にいく。売り上げが伸びるという恩恵はあるものの、「運転者の確保が難しくなっている」(日野の下社長)昨今では、荷受けをこれ以上増やせない。最低限の運転者で効率良く荷物をさばくためには、車両の稼働率を高めるしかない。

700km走れるディーゼル車と100kmのEV

 稼働率の向上と車両のEV化は逆を行く考え方だ。既存のディーゼルエンジン車は1回の給油で長距離を走れ、待ち時間も少ない。配送用の小型トラックならば、数分間の給油で700km以上を走れる(編集部注:燃料タンク容量75Lで燃費10km/Lの場合)。

 現状の技術水準のEVトラックは、同車格で約100kmの航続距離にとどまる。電圧200Vの普通充電で約11時間、日本で主流の「CHAdeMO(チャデモ)」方式の急速充電で約1.5時間を要する。車両が動けない待ち時間は、ディーゼルエンジン車の数十倍以上だ(関連記事:“世界初”のEVトラック、電池はベンツと共同開発)。

 それでも、世界的なEVシフトは止まらない。環境規制の強化への意識が高まる中、ドイツやフランスなどは、特定の都市にディーゼルエンジン車で乗り入れること禁止する見通し。今後、この動きは世界中に波及しそうだ。乗り入れ規制の無い都市間の輸送はディーゼルエンジンを載せた中・大型トラックを使えるが、規制のある都市内はEVを使うしか選択肢はない。

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