2018年11月に銀行業への参入を表明したLINE。月間利用者7800万人を抱える強みをどう生かし、2020年の開業を目指すのか。金融業界に与える本当のインパクトとは。その深層を、日経FinTech2018年12月号の特集から読み解こう。

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 金融エコシステム内の身分証とも言うべきLINEスコアも、重要な役割を果たす半面、定着に向けては細心の注意を払う必要がありそうだ。

信用スコアに潜む課題

 LINEスコアは、パーソナライズ化した金融サービスを、生活導線の延長上で提供するために必須の仕掛けである。利用者一人ひとりの信用力を常に把握しておくことで初めて、例えば貸出サービスなどを必要なタイミングで瞬時に提案、提供可能になる。コミュニケーションサービスを基にした行動傾向に加え、LINEショップの購買情報、LINEモバイルの契約情報といった非金融領域や、多岐にわたる金融サービスのラインアップをそろえたLINEには、信用力を測るデータが充実している。独自の信用スコアを構築しようとする試みは多いが、LINEには、それを実現する条件がそろっている。

 課題は世間の理解を得られるか、だ。信用スコアによって成功を収めた例として中国Ant Financialが提供する「芝麻信用」がある。アリババ経済圏を超え、提携サービスでも活用できるなど広がりをみせている。

 しかし中国と同じように日本でも受け入れられるかは、現時点で不透明と言わざるを得ない。2013年、JR東日本が「Suica」の乗降履歴を日立製作所に販売して利用者などから大きな反発を受けたように、ひとたび逆風が吹けば、LINEスコアは頓挫しかねない。

 もちろん、LINEもそのことは心得ている。希望しない利用者のスコアは算出しない、現時点ではLINEグループ内での活用にとどめる、個別のメッセージなどは暗号化してLINEが知り得ない状態にしている、など個人情報やプライバシー保護の姿勢を繰り返し強調している。利用者の不安を払拭しつつ、利便性を訴求していくという地道な積み重ねが欠かせない。

成功のヒントは欧州と中国にあり

 LINEが描く金融エコシステム構想の勝算はどの程度あるのか。ヒントは海外で登場している新興銀行の現状にありそうだ。

 続々とチャレンジャーバンクが登場する英国などの欧州では、「オープンバンキングが大きな方向性」と、NTTデータ経営研究所グローバル金融ビジネスユニットアソシエイトパートナーの桑島八郎氏は説明する。自分たちは最低限の金融サービスだけを扱い、データ分析を基に顧客と第三者のFinTechサービスをレコメンドによってマッチングさせるプラットフォームを目指す。

●欧州と中国における新興銀行の共通点
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