富士通・田中達也社長が社長就任の4カ月後、2015年10月に掲げた「営業利益率10%以上」「海外売上比率50%以上」などの「公約」に向けた経営はもくろみ通りにはいかなかった。2018年10月、田中社長は営業利益率10%の達成を目指す時期を2022年度に先送りすると発表。併せて海外売上比率50%の目標を取り下げた。

 「富士通には自分が持っているものから考えてしまう大企業病がある」。こう反省を述べた田中社長が今後の反攻の象徴とするのが、AI関連事業のグローバルでの戦略策定や実行を担う子会社FUJITSU Intelligence Technologyだ。

富士通の田中達也社長
(写真:陶山 勉)
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 カナダ・バンクーバーに2018年11月に新設。現地のAI関連の研究機関やスタートアップと協力しながら、富士通の各拠点で取り組むAI開発の「司令塔」の役割を果たす。世界で通用するAI製品/サービスの開発を目指す。

 再び田中社長の独白が続く。

田中氏:今までとやり方を変えたいと思った。富士通のAI開発の歴史は30年以上ある。その中で特徴的な技術も幾つか出てきた。ただし、富士通がAIの分野で世界トップクラスと見られているわけではない。その状況を打破するためには従来と同じやり方ではいけない。

 AIは収益性でいえばまだまだだ。むしろ守るものがない状況にある。ならば攻めればいい。思い切ってやってみるべきだ。

富士通が打ち出した、成長に向けた施策
営業利益率10%目指し、国内と海外をテコ入れ
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 世界を意識した商品を開発しようとしたときに、必ずしも日本発である必要はない。外部との連携や人材の獲得などに最適な土地にグローバルの司令塔を置き、日本やアジア、欧州など世界中の事業部や研究所を束ねていく。

 各地域のサービス部門は同じ地域の事業部門との会話を通じて、顧客のニーズを反映する。それにより、顧客が必要としている世界トップクラスの商品やサービスを開発できるようにする。

選ばれる3つの条件

 海外事業の最重要地域である欧州では、顧客企業の「パートナー」としての地位向上を目指す。

田中氏:欧州の顧客企業から日本企業への期待の言葉をもらうことが増えた。事業を支援してもらうパートナーとして、米国の巨大プラットフォーマーと組むのは避けたいと彼らは感じている。データを乗っ取られるのではないかという危機感がある。中国の企業もパートナーとしては考えにくいという。(日本企業として)このチャンスを生かさなければならない。

 パートナーとして選ばれるための条件は3つだ。まず技術力。必ずしも自社開発する必要はない。他社の商品も正しく評価したうえで、顧客の要望に応じて組み合わせていく。

 次に組織力だ。必要な技術を組み合わせて、高信頼なシステムを組めるかどうか。そうしたシステムを構築して運用・保守できる能力が求められる。

 最後に人材。専門力と言ってもいい。顧客の変革をリードするプロフェッショナルをどれだけ育てられるかが重要だ。

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