中国製の通信機器を巡り、波紋が広がっている。米国政府は2019年度国防権限法で中国5社の製品や部品の調達を禁止する方針を決定。日本でも各省庁のIT調達で実質、排除される見通しと報じられる。今後の影響を読み解く。

 「中国製の通信機器を利用しているが、政府方針の根拠や証拠が明らかにされていないため、どのように判断すべきか悩んでいる」。ある金融業の幹部はこう打ち明ける。

 中国製の通信機器を巡って、ユーザー企業が困惑している。日本政府は2018年12月、各省庁などのIT調達における手続きをサイバーセキュリティーの観点から厳格化する方針を決定。報道によれば、米国が取引を禁じる中国製の通信機器は実質、排除され、電力や水道、金融など重要インフラを担う民間企業にも適用を広げるとされる。

 だが、各省庁に助言する立場にある内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)や通信分野を所管する総務省は、「特定の国やメーカーを名指ししたことはこれまで一切ない」とのスタンス。政府関係者が中国製の通信機器の排除を公に認めれば外交問題になりかねないとは言え、ユーザー企業からすれば具体的な指示と明確な根拠がなければ動けない。機器のリプレースとなればコストがかかるのでなおさらだ。

 そこで日経 xTECHは今回、大手ITベンダー6社とユーザー企業25社に現在の状況と今後の方針を尋ねた。

「根拠と基準を示してほしい」

 「中国製の情報通信機器を顧客企業に納入しているか?今後の取り扱い方針は?」という趣旨の質問を大手ITベンダー6社にぶつけた。

 日立製作所と日本ユニシスは、同じような回答だった。日立製作所は「(顧客企業に納入する情報通信機器について)メーカー名などを公表していない。関係規則・基準・政府方針の動向を注視し、影響調査や対策の検討を行っていく」(広報・IR部)。日本ユニシスは「(顧客企業に納入する情報通信機器について)メーカー名などを公表していない。政府の調達指針やガイドライン、公的機関からの働きかけがあった場合は準拠する」(広報部)。

 NECは中国製の情報通信機器を「基本的に取り扱っていない。政府の動向を見ながら対応していく」(コーポレートコミュニケーション部)。中国華為技術(ファーウェイ)の製品を取り扱っている伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は「やめるなどは判断していない。状況を注視していきたい」(広報部)とした。

中国製の情報通信機器に関する大手ITベンダーの今後の方針
社名概要
NEC基本的に取り扱っていない。政府の動向を見ながら対応していく
NTTデータ顧客企業への納入状況を調査しており、まだ回答できない。日本政府の調達方針を確認しつつ、グループ全体で適切に対処していく
伊藤忠テクノソリューションズ
(CTC)
ファーウェイの製品を取り扱っているが、やめるなどは判断していない。状況を注視していきたい
日本ユニシス(顧客企業に納入する情報通信機器について)メーカー名などを公表していない。政府の調達指針やガイドライン、公的機関からの働きかけがあった場合は準拠する
日立製作所(顧客企業に納入する情報通信機器について)メーカー名などを公表していない。関係規則・基準・政府方針の動向を注視し、影響調査や対策の検討を行っていく
富士通米国の国防権限法で指定された5社については顧客企業に納入した実績がないことを確認した。政府の状況を注視していきたい

 取り扱いがなくても顧客企業の要望があれば納入することはあり得る。このため、顧客企業への納入状況を調査しているITベンダーもある。富士通は「まだ調査中だが、米国の国防権限法で指定された5社については顧客企業に納入した実績がないことを確認した」(広報IR室)。NTTデータもまさに調査中としている。いずれにせよ、各社とも政府の動向を見ながら対応していく考えだ。

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