およそ3万台といわれる国内のホームプロジェクター市場。この小さな市場で、2018年9月末の出荷開始からわずか約3カ月で販売台数が1万台を突破した製品がある。「popIn Aladdin」(ポップインアラジン)――中国Baidu(百度)が2015年に買収した東大発のベンチャー、popInの製品だ。定価は7万9800円(税・送料込)と、決して安いわけではない。しかし、プロジェクターとスピーカー、シーリングライトの3機能を一体化したこと、さらに天井の引っ掛けシーリングライト用器具に取り付けるだけでホームシアターを実現できるという手軽さや便利さが支持されてヒット商品となっている。

スピーカー付きプロジェクター内蔵シーリングライト「popIn Aladdin」
開発を主導したのは、popIn 代表取締役の程涛氏(写真:日経 xTECH)
[画像のクリックで拡大表示]

 popInの本業は、ユーザーが閲覧しているWebサイトの表示時間からコンテンツに対する興味関心度を推測し、最適なコンテンツのレコメンドや広告表示を行うといった事業だ。代表取締役の程涛氏が東京大学情報理工学系研究科創造情報学専攻所属時に起業した生粋のIT企業である。

 なぜそんな“ハードウエア作りの素人”がpopIn Aladdinをヒットさせることができたのか。一因は、程氏の“ユーザー目線”でのアイデア着想と製品仕様策定にある。そもそもpopIn Aladdinは、程氏が「子供向けの学習ポスターがデジタル化できたらどうなるんだろう」と、主力事業とはほぼ何の関連もなく、数年前に自宅で試作を始めたことが開発のきっかけだった。

 スマートフォンが能動的な情報取得を基本とするのに対して、学習ポスターは受動的であり、自然と知識を身に付けるのに向いている。ここにもし音が加わったら、動画が加わったら、情報との新しい接触方法として子供の世界観を広げるために役立つIoT機器になるのではないか。そう思いついた程氏は、早速資材を買い込んで試作を始めた。といっても、程氏の専門はソフトウエア。試作といっても電子工作をするわけではなく、市販品を組み合わせて効果を検証するというものだ。

この先は有料会員の登録が必要です。今なら有料会員(月額プラン)が4月末まで無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら