中小企業が地域支援ネットワークと連携する際の基本的な考え方

 これまで複数回にわたり、中小企業が研究開発によりイノベーションを実現していく上で、他の中小・ベンチャー企業、大学、あるいは大企業との連携を進めるためのポイントについて述べてきた。第8回となる今回は、中小企業が地域の支援機関を活用しながら研究開発を加速していくためのポイントについて解説する。

 研究開発に携わる中小企業にとって、開発成果を事業化に結び付けるためには、乗り越えなければならない課題が多く存在する。技術的な課題解決はもちろんのこと、販路開拓など技術面以外の課題解決も併せて検討していく必要がある。リソース(ヒト・モノ・カネ)やノウハウが必ずしも十分ではない中小企業が単独で全てを解決するのは容易ではないが、そうした中小企業を支援する機関が各地域に多く存在する。こうした機関が提供する支援メニューの上手な活用が望まれる。

 技術課題解決や事業化に向けた支援に当たっては、国や地方自治体から、いわゆる産業支援機関まで様々な機関が存在する(表1)。

表1 技術や事業化の課題解決に向けた地域の支援機関
(PwCコンサルティングが作成)
[画像のクリックで拡大表示]

 第5回でも記載したように、国・地方行政が拠出している研究開発のための助成・補助金制度や、地域の産業支援機関などが独自に実施している補助金プログラムが存在するが、これらの活用の意義は必ずしも資金調達だけにとどまらず、制度を活用すること自体が中小企業のブランディングにつながる場合がある。例えば、経済産業省が実施する研究開発のための補助事業「戦略的基盤技術高度化支援事業(通称:サポイン事業)」では、申請の段階でそれなりの審査を受ける必要があるが、採択を受けた企業からは「サポイン事業を実施したことで企業の知名度・信頼度が向上し、営業ツールとして役立った」「他者(顧客企業や大学、企業)との連携に向けた接点構築が容易になった」「銀行からの融資を受けやすくなった」などといった意見を耳にする。

 また、こうした補助金制度などを活用したことがきっかけとなり、地方自治体・公設試験研究機関(公設試)や地域の産業支援機関などとの接点が増え、後述するように「公設試や産業支援機関といった支援機関の活用機会が増えた」という声もある。こういった制度の活用経験のない企業では、まず一歩を踏み出し、活用可能な制度を積極的に検討してみるようお勧めする。

 本稿では、技術課題の解決と事業化に向けた課題解決の2つの観点から、公設試や産業支援機関が果たす(あるいは果たすと期待される)支援の役割や、支援の活用のポイントについて解説する。なお、具体的な支援メニューは支援機関ごとに異なるため、各機関のWebサイトなどを参照の上、活用を検討されたい。

この先は会員の登録が必要です。有料会員(月額プラン)は初月無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら