中小企業が大企業と連携する際の基本的な考え方

 本連載第5回第6回では、中小企業が研究開発によりイノベーションを実現していく上で、他の中小・ベンチャー企業、あるいは大学との連携を進めるためのポイントについて解説した。今回は、大企業とうまく連携体制を構築していく上でのポイントについて説明したい。

 ものづくり中小企業の多くが大企業(大規模製造業)の下請けになっているとの構造があり、少数の大企業に売り上げの大部分を依存する中小企業も少なからず存在する。そのような中小企業は、大企業の求めに応じて製品・技術を提供したり、大企業の指示によって技術を開発したりしている。中小企業自らが競争力を身につけ、いわゆる「下請け依存からの脱却」を図るには、中小企業自らが主体的に事業を推進し、大企業を「利用する」くらいの気概と覚悟が期待されよう。

 それでは、中小企業自身がイノベーションを創出する主体として、大企業と効果的な連携体制を構築するには、どうしたらよいのだろうか。研究開発を手掛けるものづくり中小企業が大企業と連携する際、その連携体制は、大きく3パターンに分かれると考えられる(図1)。

図1 大企業と中小企業の関係性の類型
(出所:PwCコンサルティング)
[画像のクリックで拡大表示]

 1つは、大企業とは発注・受注の関係ではあるものの、中小企業が主体的に多様な大企業と接点を構築するパターンである。大企業の発注・指示を待つのではなく、製品・技術の「売り先」となり得る大企業の課題・ニーズを積極的に掘り起こしに行くとともに、1社のニーズに依存することなく、他の多様な大企業に対して製品・技術を「仕掛け」ていく。

 2つ目は、中小企業と大企業が共同で研究開発を推進し、特定の顧客ニーズを満たすために製品・技術を開発するパターン。中小企業と大企業の関係は対等なパートナーであり、下請けとして大企業へ製品・技術を提供するという関係ではない。

 3つ目は、中小企業が主体となって新規製品・技術の開発に当たり、部分的に大企業からの技術提供などの支援を得るパターン。中小企業が大企業のリソースを活用して自らの事業に生かすという関係性である。

 こうした関係性の違いによって、連携の形が異なってくると考えられる。その違いに応じた中小企業と大企業との連携のポイントについて、筆者の経験なども踏まえながら論じてみたい。

この先は会員の登録が必要です。有料会員(月額プラン)は初月無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら