今回は、大企業とベンチャー企業におけるオープンイノベーションについて、大企業の立場から気を付けるべきポイントについて述べる。参考データとして「オープンイノベーション白書 第二版」を見ながら、効果的なオープンイノベーションを実現するポイントを考えてみたい。

* オープンイノベーション・ベンチャー創造協議会(JOIC)/国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による。2018年6月発行。

活発化しているとはいえないオープンイノベーション

 まずは「オープンイノベーションの取り組みは10年前と比較して活発化しているか?」という調査データ(上場企業とベンチャー企業における)を見る。「活発化している」が45.1%、「ほとんど変わらない」が52.3%、「後退している」が2.6%という結果であった。「ほとんど変わらない」と「後退している」を合わせると半数以上の回答企業が「オープンイノベーションがこの10年間進んでいない」と回答していることになる。

図1●オープンイノベーションの取り組みは10年前と比較して活発化しているか?
(出所:オープンイノベーション・ベンチャー創造協議会(JOIC)/国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)「オープンイノベーション白書 第二版」P.60図表2-52「オープンイノベーションの取り組みは10年前と比較して活発化しているか」)
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 続いて、オープンイノベーションの取り組みが10年前と比較して「ほとんど変わらない」と回答した企業における、オープンイノベーションの阻害要因を調査したデータを見る。このデータは、オープンイノベーションの阻害要因を「目的理解、組織体制」と「連携先の探索/関係構築」という2つの側面から調査した結果だ(図2、3)。

図2●オープンイノベーションの阻害要因(目的理解、組織体制)
(出所:オープンイノベーション・ベンチャー創造協議会(JOIC)/国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)「オープンイノベーション白書 第二版」P.66図表2-59「オープンイノベーションの阻害要因(目的理解、組織体制)」、P.67図表2-60「オープンイノベーションの阻害要因(目的理解、組織体制) 追加質問」)
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図3●オープンイノベーションの阻害要因(連携先の探索/関係構築)
(出所:オープンイノベーション・ベンチャー創造協議会(JOIC)/国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)「オープンイノベーション白書 第二版」P.68図表2-61「オープンイノベーションの阻害要因(連携先の探索/関係構築)」)

 「目的理解、組織体制」という側面の阻害要因として当てはまる(「とてもあてはまる」+「ややあてはまる」)項目では、

・「オープンイノベーションによって自社内で何を実現したいかという定義や目的があいまいである」と「社内全体でオープンイノベーションに取り組むモチベーションが高められていない」が同率(35.7%)で最も高い

・次いで、「社外との連携に係る意思決定のスピードが、円滑な連携に必要なレベルに達していない」がほぼ同率(35.6%)で続く

という結果になっている。

 もう1つの「連携先の探索/関係構築」という側面の阻害要因として当てはまる(「とてもあてはまる」+「ややあてはまる」)項目では、

・「連携先との協業をコーディネートできる人材が不足している」が最も高い(64%)

・次いで、「社内で活用できていない技術をライセンスアウトしたり、スピンアウトで切り出すなど活用できていない」(45.9%)が続く

という結果になっている。

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