自動車世界最大手のドイツ・フォルクスワーゲン(Volkswagen、VW)が、ハードウエアとソフトウエアを分割して開発できる車載電子プラットフォーム(基盤)の刷新に力を注ぎ始めた。ソフトとデータがクルマの付加価値を左右する移動サービス「MaaS(マース)」の普及に備える。時間がかかるハードの開発に合わせることなく、ソフトを頻繁に更新できる仕組みを構築する。

ソフトの頻繁な更新がクルマの商品力を左右する
VWは、車載ソフトを頻繁に更新しやすい集中型電子基盤の開発に力を注ぎ始めた。(出所:VW)

 分割開発の実現は、自動車の部品供給網(サプライチェーン)が大きく変わる契機になる。完成車メーカーは、ソフトとハードをそれぞれ異なる部品メーカーに発注できるからだ。

 特に完成車メーカーと直接取引する1次部品メーカー(ティア1)にとって、新しい競争の号砲が鳴ったことを意味する。これまでティア1がハードとソフトを一体で開発し、完成車メーカーに納入するのが通例だった。

 車載電子基盤とは、ブレーキやパワートレーン、メーターなどの電子制御部品とソフトウエア、車載ネットワークの配置や構成などのこと。VWは今後、新しい車載電子基盤「E3(end-to-end electronics)」を開発する。

 2019年末に生産開始する電気自動車(EV)で、新基盤の先駆けといえる構成を採用する。2025年ごろにかけて、段階的に最終形にしていくとみられる。

 現状の電子基盤は基本的に、「70個超」(VW)に上る電子制御ユニット(ECU)と、自動車の各部品が1対1でつながる「分散型」である。VWは、3個程度と少数の高性能な“中央コンピューター”で、部品の大半を制御する「集中型」に作り替えていく。

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VWが目指す集中型電子基盤
ソフトとハードを分割して開発できる仕組みの構築を狙う。(a)現状は部品ごとにソフトを配置していたため、ソフトが分散していた。(b)将来はソフトを少数の中央コンピューターに集約して単純化し、更新しやすくする。取材を基に編集部で推定した。

 中央コンピューターに主要ソフトを集約することで、「(自動車の付加価値を左右する)ソフトの継続的なアップデートとアップグレードを実現しやすくなる」(VWグループの製品戦略を統括するマイケル・ジョスト氏)。

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