崩壊の顛末

 液体や粉体の材料を使って化学製品を造っている工場がある。これをK工場と呼ぼう。K工場では、材料を混合窯で処理して化学製品を造った後、その化学製品を充填機を使って小分けに充填している。そのため、工場にはドラム缶などで供給される液体材料や、紙袋やフレコン(袋状の包材)で供給される粉体材料がたくさんあり、現場は垂れる液体や舞い散る粉体で常に汚れやすい状態にあった。

 前任の工場長は「職場をきれいにせよ」と、終業時に清掃を命じていた。そのため、現場をきれいに維持することができていた。

(作成:日経 xTECH)
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 ところが、時間の経過とともに設備の老朽化が進み、配管や設備の周辺には漏れ出た蒸気や冷却水が水たまりとなって床に点在する状況になっていった。そして、工場長が交代したところ、現場の汚れは急速に悪化した。

 新しい工場長は清掃を否定することはないものの、前任の工場長とは違って、毎日の活動として積極的に取り組ませることはしなかった。清掃しても生産性が上がるわけではないと考えたからだ。「社長巡視」のような特別な日の前を除くと、「手が空いたときにきれいにせよ」という程度だった。こうして清掃の優先度が下がって清掃の頻度が減ると、現場は大きく変貌した。

 例えば、液体材料がこぼれても、粉体材料が飛散しても、誰も掃除しない。そのため、液体や粉体が床にこびりついてしまった。配管から漏れ出た水も拭き取らず、修理もしないでしばらく放置。そのため、床に落ちた水が汚れとなって付着していた。こうした状態が続き、汚れは次第に設備にも床面にも広がり、汚れた状態が常態化。結果、K工場は現場や設備の異常に誰も気付けなくなり、トラブルが急増してしまった。

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